出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…ガラス管の上部にできた空虚な部分を,真の〈真空〉とは認めず,そこには何らかの物質が存在し,あるいは何ものかが水銀柱をつり上げているという批判的解釈も多かったが,現在からみると,この部分こそ,人間が意図的に確認した最初の真空だったといえよう。それを〈トリチェリの真空〉と呼ぶ。この直後,フランスではB.パスカルが(義兄ペリエに依頼して)有名なピュイ・ド・ドームの実験を行って(1648),真空と大気圧の研究成果を確認している。…
…吸上げポンプ中でなぜ水が約9m以上昇らないのかという疑問に対し,ガリレイは,真空自身が物体の分離に抵抗する力をもつものとして,そのポンプ中の水柱の重さがちょうどその真空の抵抗力と等しいとし,それ以上高い水柱は自分の過分の重さのために切断してしまうのだと説明していた。一方,トリチェリは,水より重い液体,とくに水銀を使用して実験を行い,その現象が管外の空気の重さによって生ずるものだと確証し,逆さまに立てた水銀柱の上端に真空(トリチェリの真空という)ができることを明らかにした。この実験結果は,M.メルセンヌによってフランスにもたらされて,以後,パスカルらの真空実験を活発にするのだが,一般にはアリストテレス流の真空嫌悪説の流布のために認められなかった。…
※「トリチェリの真空」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」