エーゲ海南東部、小アジア南西岸沿いにあるギリシア領の諸島。スポラデス諸島の南部に含まれる。名称は「12の島々」の意であるが、実際の島数は小さな無人島を除いて34島ある。英語名ドデカニーズDodecanese、イタリア語名ドデカネソDodecaneso。おもな島は北からパトモスPatmos(イタリア語名パトモPatmo、以下同)、レロスLéros(レロLero)、カリムノスKálimnos(カリノCalino)、コスKos(コーCoo)、ニシロスNísíros(ニシロNisiro)、ティロスTílos(ピスコピPiscopi)、ハルキKhálki(カルキCalchi)、ロードスRódhos(ローディRodi)と、やや西寄りのアスティパレアAstipálaia(スタムパリアStampalia)、カルパトスKárpathos(スカルパントScarpanto)、カソスKásos(カソCaso)を含む。これらの島々とその周辺の小島をあわせてドデカネス県を構成する。県の面積は2671.6平方キロメートル、人口19万3400(2003推計)。ロードス島が最大で、県都は同島北東端のロードス(人口5万3709、2001)。ロードス島やコス島の観光業とカリムノス島を中心とする海綿採集のほかには特記すべき産業に乏しく、中世以来の自給的な生活のおもかげを色濃く残す島々が多い。
古代にはドーリス系、イオニア系のギリシア人が定住し、イオニア文化の繁栄をみた。ローマ時代、ビザンティン帝国時代、オスマン帝国などの支配時代を経て、19世紀から独立運動が起こったが、1912年イタリア・トルコ戦争に際してイタリアが占領を始め、1923年のローザンヌ条約(第2)でトルコからイタリアに割譲された。第二次世界大戦中の1944~45年にはイギリス軍が占領して軍政下に置いたが、戦後、1947年のパリ条約でギリシアに返還された。
[真下とも子・馬場恵二]
エーゲ海の南東部,小アジア海岸に沿って点在するギリシア領の島々。現代ギリシア語ではドデカニソスDhodhekánisos。ドデカネス(ドデカニソス)は〈12の島〉の意味であるが,現実には歴史的経緯から十数個の島が含まれる。中心となるのはロードスとコスの2島。古来ギリシア圏に属したが,近代ギリシアの独立に際してはトルコ領として残され,1911年のイタリア・トルコ戦争によってイタリア領となる。47年にギリシア領に編入。総人口約12万。上記2島のほかに重要な島としてはパトモスPátmosがある。ここは人口約2500,多くの島民が海綿漁に従事している。ヨハネが霊感を得て黙示録(《ヨハネの黙示録》)を記したところとして知られ,11世紀に創立された聖ヨハネ修道院がある。
執筆者:池澤 夏樹
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