出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…一方,ルネサンス時代にローマで古代遺跡が発掘されるに及び,ヘレニズム期,古代ローマ時代のグロテスク文様もまた,アラベスクの概念に含められた。古代遺跡の多くは,たとえばネロのドムス・アウレア(黄金の家)の場合のように地下に埋もれて洞窟(グロッタ)の観を呈していたので,その壁面装飾の文様をグロテスクと呼んだのである。しかしこのグロテスク文様は,一般に流麗な葉状の曲線文様の中に花冠,鳥獣,人体をからませた綺想風の文様で,アラベスク文様と類似しているところから,イタリア語でアラベスコとも呼ばれた。…
…ただし,建築モティーフはさらに幻想的性格を強くし,カタコンベの壁画に近い様式に至ったことは推定できる。画家の名は,前300年ころのファビウス・ピクトルFabius Pictorやネロのドムス・アウレア(64ころ)を装飾したファブルスFabullusらしか伝わっていない。後者の壁画は16世紀初頭ラファエロに影響を与え,グロテスク形式の装飾壁画を生むことになる。…
※「ドムスアウレア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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