翻訳|durian
キワタ科の常緑高木。果実は熱帯果実の王様ともいわれ,人頭ほどの果実の表面はとげに覆われ,強烈な臭気を発散する。果肉は人を魅する風味をもつ。葉は互生し,長楕円形で表面は暗緑,裏面は黄白あるいは白銀色である。花は幹や太い枝から十数個が花房をなして突出し,開花結実する。系統により果実は0.3~5.0kgになり,5室に分かれ,各室に1~数個のクリの実大の種子がある。種子の周辺のクリーム状の仮種皮arilが可食部となる。熟すと異臭をはなち,〈かわやで硬いシュークリームを味わう〉との説明もあるほどである。マレー半島あるいはボルネオ島が原産地である。東南アジア特有の果樹として賞味されるが,栽培適地は純熱帯圏であり,最低気温が20℃以上の湿潤な地に限定されている。成熟果の生食のほか,ジャムと砂糖を加えて,ようかん状の菓子をつくる。種子はクリと同様に,煮て利用できる。強精剤的効果が信じられ,酒との併食は禁じられている。30mをこえる高木になり,材は軽いが建築材や合板に利用される。虫害に弱い。
ドリアン属Durioはボルネオを中心に25種あまりが知られ,そのうちの数種が食用になる果実をつけるが,ドリアンと他の1種D.kutejensis (Hassk.) Becc.のみが栽植されている。
執筆者:岸本 修
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
パンヤ科(APG分類:アオイ科)の常緑高木。マレー半島、東インド諸島原産といわれ、高さ30メートルに達する。葉は革質、長楕円(ちょうだえん)形で長さ約15センチメートル、幅約5センチメートル、基部は丸く、先端はとがる。葉表は暗褐色、葉裏は灰褐色の鱗片(りんぺん)で覆われる。幹や大枝から短い花序を直接出し、白または淡黄色の5弁花を数個開く。子房は鱗片で覆われる。果実は球形または卵形で径15~20センチメートル、長さ15~25センチメートル、褐色で表面に堅い錐(きり)状突起が密にある。果皮は厚く、果内は5室からなり、各室は数個の淡黄色の肉塊で満たされる。各肉塊は狭長楕円形で灰褐色の種子が2、3個ある。
果肉を食用とする。肉質は生クリームに似て、かすかにデンプン質を感じ、甘味が強く、上品な香りがある。ただし、果皮の内壁から出る腐敗したタマネギ臭のような悪臭の移り香が混ざるため、人によってはこれを嫌う。しかし、味のよさから熱帯産果実の王様といわれ、生食のほかアイスクリームやジャムなどに用いる。また幼果は塩漬けにして食べる。種子はジャガイモの肉質に似ており、煮るか焼いて食べ、またデンプンをとって薬用とする。多くは3~4月に開花して8~9月に熟すが、8~9月に開花して2~3月に熟すものもある。
[飯塚宗夫 2020年4月17日]
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