日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドルーデ」の意味・わかりやすい解説
ドルーデ
どるーで
Paul Karl Ludwig Drude
(1863―1906)
ドイツの物理学者。ブランズウィックの生まれ。ゲッティンゲン大学で数学を学び、一時フライブルク、ベルリンの大学に学んだのち、ゲッティンゲンに戻り、W・フォークトの下で結晶光学の理論的研究を進め学位を取得した。1894年ライプツィヒ大学、1901年ギーセン大学、1905年ベルリン大学の各教授に就任した。マクスウェルの電磁理論に共鳴し、電磁波の伝播(でんぱ)や物理光学、とくに物質の光学的・電気的・熱的・化学的性質を関連づける理論的問題に取り組んだ。その後、1898年ごろから、金属の諸性質を理論的に基礎づけるために、気体分子運動論にヒントを得て、金属内には不規則に運動する多数の自由電子が存在するという仮定のうえに金属電子論を展開、ウィーデマン‐フランツの法則をはじめ、電気伝導・熱伝導現象の説明を与えた。また、磁性をもつ金属の反射率は磁化の状態に依存するというカー効果の説明、ドルーデ‐フォークトの光の分散式でも知られている。
[兵藤友博]