遠隔操作や自動操縦により飛行する小型無人機。複数のプロペラを持つものが一般的。有人機と比べて低コストで、搭乗員の被害を防げるため、軍事分野では戦闘や情報収集での活用が進む。ロシアとウクライナの戦いでも自爆型などが多用されている。日本政府も昨年末、国家防衛戦略に無人機を積極的に活用し、偵察用や攻撃型、水中活動型など多様な機種を整備すると明記した。(共同)
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遠隔操作や自動操縦で飛行する無人機の総称。英語のdroneは雄ミツバチの意味で、ブーンというハチの羽音から命名されたとされる。無人飛行機の英語の頭文字からUAV(unmanned aerial vehicle)、UAS(unmanned aircraft systems)などと略される。ハンググライダーのような固定翼航空機型と、回転翼(ローター)で垂直・水平飛行が可能な回転翼航空機型(マルチコプター)がある。大きさは全長10センチメートルほどの小型機から軍事用の大型機まで多様。1910年代から無人偵察・攻撃機として開発が始まり、第二次世界大戦後に実用化され、冷戦期を通じて軍事用として活用されてきた。21世紀に入って安価で小型・軽量なジャイロ・加速度センサーや二次電池が実用化され、複数ローターを搭載したマルチコプターが登場して民生需要が拡大した。
一般にドローンといった場合、複数ローターをもつ小型マルチコプターをさす。全地球測位システム(GPS)や高性能カメラを搭載し、(1)鳥瞰(ちょうかん)した画像や映像の撮影・送信が可能、(2)人の近づけない危険地帯や過疎・離島地などで活用できる、(3)渋滞などに関係なく高速で移動可能、(4)スマートフォンなどで容易に操作できる、といった特性をもつ。このため玩具のほか、測量、インフラ点検、スポーツ中継や事件などの報道・取材、通信の中継、物流・配送、過疎・孤立地域への生活必需品輸送、農薬・消毒液散布、気象・海洋観測、森林管理、災害モニタリング、避難誘導・救助支援、警備・監視など、広範な需要が生まれて市場が拡大。矢野経済研究所の予測によれば、2025年までに世界のドローンの市場は2.9兆円規模に達するとみられる。日本UAS産業振興協議会によると、世界のドローン出荷数は400万機(2018)に上り、世界最大のドローンメーカー、大疆創新科技有限公司(DJI)はじめ、中国企業が世界のドローン生産の7割を占める(2021年時点)。
海外ではアメリカのテキサス・カリフォルニア・アリゾナ各州や中国、フランスなどが特区や都市を指定して関連ビジネス・技術を集中育成し、カリフォルニア州などでは、市街地で操縦者から見えない飛行(目視外飛行、レベル4)が始まっている。日本では2015年(平成27)に、首相官邸などでドローン落下事故が相次ぎ、規制が先行した。2015年以降、航空法(昭和27年法律第231号)をたびたび改正するとともに、2016年にドローン規制法(正式名称「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」平成28年法律第9号)を制定。首相官邸、国会議事堂、最高裁判所、皇居、外国公館、原子力発電所、自衛隊施設、在日米軍基地などの敷地・区域の上空、およびそれらの周囲約300メートルの地域の上空の飛行を禁じ、空港周辺、高さ150メートル以上の空域、人口密集地やイベント会場などの上空での飛行についても国土交通大臣の許可制とした。なお、許可を受けた場合や、禁止区域外の飛行であっても、道路・公園・広場など公共の場所の上空においては、アルコール・薬物摂取の影響下での操縦(違反には1年以下の懲役または30万円以下の罰金)、同じく爆発物など危険物の輸送、物を落下させること、騒音や急降下を伴う飛行など(50万円以下の罰金)も禁じた。2022年(令和4)6月には、機体重量100グラム以上のドローンを無人航空機と規定し、所有者と所有機の登録を義務化(2022年8月末時点で登録数約30万)し、飛行許可承認申請を必須(ひっす)とした。違反者には1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。一方、ドローンのビジネス利用を促すため、目視内での操縦飛行(レベル1)に限定していた規制を段階的に緩め、2016年に目視内の自動・自律飛行(レベル2)、2018年に無人地帯での目視外飛行(レベル3)を容認。2022年12月には、国による機体の安全性認証制度と操縦者免許制度を導入することで、市街地上空など有人地帯での目視外飛行(レベル4)を解禁する。また、2015年から、ドローン特区や実験飛行場を指定し、宅配事業、離島・過疎地域での買い物弱者支援、農薬散布、鳥獣被害対策、医薬品配送などの実証実験を進めている。電波法に基づく免許不要の無線LAN周波数帯に加え、免許の必要な周波数帯(5.7ギガヘルツ帯と2.4ギガヘルツ帯、169メガヘルツ帯)を2016年からドローン専用として割り当て、ビジネス需要に対応している。
[矢野 武 2022年11月17日]
音楽において多声性のテクスチュア(音構成原理)を形成する方式の一つ。「うなり音」を意味し、「持続低音」と訳すことがある。もとは、バッグパイプで最低主音、五度上音などをつねに鳴らし、その上で旋律を泳がすやり方に由来するが、これに類似した方法が曲の一部分に採用される場合も含めて、一般的な用語として使われるようになった。オルガンや弦楽器の独奏だけでなく、合奏でも効果をあげる。チベット仏教(ラマ教)法要のらっぱ、モンゴルのホーミー(1人の男性が低いうなり声に加えて、口腔(こうこう)調整により高い倍音の旋律を歌う)、インド古典音楽でのタンブーラの音などの例もある。
[山口 修]
(南 文枝 ライター/2015年)
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単調に持続する低音を奏する(歌う)こと,その楽器,もしくはその音を指す。西洋音楽では古くから大別して以下の三つの意味がある。(1)保続低音しか出せず,他の楽器や歌の伴奏にのみ用いられる素朴なバッグパイプ,(2)バッグパイプやハーディ・ガーディなどの低音管(弦),(3)多声音楽における保続低音(オルゲルプンクト,ドローン・バス,ブルドンともいう)。持続的に低音を奏することは非欧米音楽にも広く見られる。とりわけインドの古典音楽では,曲の開始以前から終始とぎれることなく当該の旋法の主音と属音を鳴らし続ける演奏慣習がある。この場合,ドローン楽器(タンブーラやシュルティ・ボックス)はたいてい専従者が受け持つ。
執筆者:柘植 元一+土田 英三郎
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(2014-9-1)
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