ドン川(読み)ドンがわ(英語表記)Дон/Don

精選版 日本国語大辞典 「ドン川」の意味・読み・例文・類語

ドン‐がわ ‥がは【ドン川】

(ドンはDon) ロシアのヨーロッパ部を流れる大河。モスクワ南部の中央ロシア丘陵に源を発し、草原地帯を大きく東に弧を描いて流れ、アゾフ海タガンログ湾に注ぐ。全長一九七〇キロメートル。流域面積四四万二五〇〇平方キロメートル。

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デジタル大辞泉 「ドン川」の意味・読み・例文・類語

ドン‐がわ〔‐がは〕【ドン川】

DonДон》ロシア連邦西部、モスクワ南方の丘陵に源を発して南へ流れ、アゾフ海に注ぐ川。全長1870キロ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドン川」の意味・わかりやすい解説

ドン川
どんがわ
Дон/Don

ヨーロッパ・ロシアを流れる川。古代ギリシアではタナイスTanais川とよんだ。長さ1870キロメートル、流域面積42万2000平方キロメートル。年間流量は約29.5立方キロメートル。中央ロシア台地の東斜面に発し、初め南流する。ボロネジを過ぎるとしだいに東方に向きを変え、広い河成平野をつくる。人造湖ツィムリャンスク湖を経て西流し、ロストフ付近より下流に広大な三角州をつくりながらアゾフ海のタガンログ湾に流入する。ボロネジ川、ホピョール川、メドベディツァ川、ドネツ川、マニチ川などの支流がある。流量の多くは融雪水で、春季に増水する。平均勾配(こうばい)が約1万分の8ときわめて緩く、とくに中流部以下では数百メートルの流路幅を有してゆっくりと流れるので、「静かなドン」といわれる。11月上旬~12月上旬から、3月下旬~4月中旬まで結氷する。

 漁獲量は多く、キャビアの産地として知られる。結氷期と夏季の減水期を除き、河口から1355キロメートル上流のゲオルギウ・デジまで、春の増水期にはさらに235キロメートル上流まで船が通る。ツィムリャンスク湖の上流端からボルガ・ドン運河が通じ、穀物石炭などの重要な水上輸送路となっている。ツィムリャンスク湖の水は発電灌漑(かんがい)などにも利用される。

[熊木洋太]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドン川」の意味・わかりやすい解説

ドン川
ドンがわ
reka Don

ロシア南西部を流れる川。ヨーロッパロシアの大河で,ドネプル川水系とボルガ川水系にはさまれる。中央ロシア高地北東部,ノボモスコフスク付近に源を発し,南流,南東流したのち,ツィムリャンスク人造湖に入って南流,その後沼沢地の多い洪積平野を西流し,ロストフナドヌーを過ぎて,アゾフ海のタガンログ湾に注ぐ。河口に三角州 (面積 340km2) をつくる。全長 1870km。流域面積 44万 2500km2。おもな支流は右岸のドネツ,左岸のホピョール,メドベージツァ,マヌイチ (西マヌイチ) の各川。河水の大半は融雪水により涵養される。上流部では 11月~4月,下流部では 12月~3月は結氷。河口から 1355km上流のゲオルギウデジまで航行可能で,石炭,石油,穀物,木材,工業製品などが輸送される。ツィムリャンスク人造湖北部から東へ,ボルゴグラード下流のボルガ川と結ぶボルガ=ドン運河が建設され,ドン,ボルガ両川水系が連絡された。下流域はコサックの定住地で,ここを流れるドン川は落差が少く流れがゆるやかであることから,「静かなドン」といわれる。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ドン川」の解説

ドン川(ドンがわ)
Don

中央ロシア高地に源を発し,アゾフ海に注ぐ大河。全長約1870km,42万2000km2の流域面積を持っている。古代ギリシアの文献にはタナイス川として出ている。16世紀以降,中・下流域にカザークの自治区がつくられ,17世紀には南部国境の防衛の第一線になったが,しばしば農民暴動の震源地にもなっている。ソ連時代に運河によってヴォルガ川と連絡された。

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