ナタネ(菜種)(読み)ナタネ

百科事典マイペディア 「ナタネ(菜種)」の意味・わかりやすい解説

ナタネ(菜種)【ナタネ】

アブラナとも。アブラナ科の一〜二年生の油料作物総称ヨーロッパ〜シベリア原産といわれ,いくつかの種を含む。温暖で肥沃な地を好むが適応性は広い。高さ80〜150cm,1株から数十本の枝を出し葉は厚く広い。春に花茎を出し総状花序に多数の黄色い小花を開く。実は細長く内部は2室に分かれ,中に黒褐色の小型の種子を13〜24個含む。種子からナタネ油をとり,油かすタンパク質を多く含み,飼料肥料などにする。
→関連項目スグキナ

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世界大百科事典 第2版 「ナタネ(菜種)」の意味・わかりやすい解説

ナタネ【ナタネ(菜種)】

日本で,種子からナタネ油をとるために栽培され,ナタネと総称されるものには,アブラナ科の,植物学的に異なった2種の作物がある。その一つアブラナBrassica campestris L.(英名Chinese colza。採油用品種群に対する名)は在来ナタネともいわれ,また種子が黄褐色で赤っぽいので赤種(あかだね)とも呼ばれる。葉は淡緑色で軟らかく,白い蠟質がなくて,若い葉は食用になる。クキタチとかククタチと呼ばれて,あえ物や汁の実,煮付けなどにして食べる冬菜の多くはこの類である。

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世界大百科事典内のナタネ(菜種)の言及

【油】より

油倉油座【小西 瑞恵】 しかし中世末には,これらの油座は特権を失い,大坂・堺の油商人に圧倒された。そのころ原料もエゴマ・ゴマからナタネへと重心が移り,さらに綿実(わたざね)も登場して,ナタネから絞った水油と綿実から絞った白油が近世の油の主流となった。江戸・大坂の需要に応ずる近世の絞油業は,まず大坂長堀川に臨む船場・島之内と天満を中心に展開し,また1705年(宝永2)摂津平野郷には綿実絞油屋が28軒を数えた。…

【油かす(油粕)】より

…ダイズ,ナタネ,綿実などの油分に富む植物種子から油分をしぼった残りを総称したもの。魚肥類とともに古くより肥料として流通しており,1940年ころまでは販売肥料の主流をなしていた。…

【油料作物】より

…ナタネ,ゴマ,トウゴマ,エゴマ,ラッカセイ,オリーブ,ダイズなど,油の採取を目的として栽培される作物。作物分類では工芸作物に含まれる。…

※「ナタネ(菜種)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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