改訂新版 世界大百科事典 「ナベナ」の意味・わかりやすい解説
ナベナ
Dipsacus japonicus Miq.
山地にはえるマツムシソウ科の大型越年草。茎は高さ1m以上となり,とげ状の硬い毛がある。葉は対生し,羽状に切れ込む。夏から秋にかけて茎の先に球形の頭状花序をつけ,直径1~2cm,基部に線形の苞がある。花序につく小苞は半円形で先は針状にとがる。各小苞の腋(わき)ごとに1個の小花がつく。花冠は筒状,先は4裂し,淡紫色。子房は下位で1室,1胚珠がある。本州,四国,九州,朝鮮,中国東北部に分布する。
ナベナ属Dipsacus(英名teasel,teazel)はヨーロッパ,地中海沿岸地域,さらにアフリカに15種が知られる。ヨーロッパ原産のオニナベナD.fullonum L.ssp.sativus (L.) Thell.(英名common teasel)は小苞の先が鉤(かぎ)状に曲がり,頭状果序をラシャをけばだてるのに使い,一名ラシャカキグサともよばれ,栽培される。
執筆者:福岡 誠行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報