精選版 日本国語大辞典 「ニコチン」の意味・読み・例文・類語
ニコチン
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ピリミジンアルカロイドの一つで、1809年にタバコの煙より初めて単離され、ポルトガル大使で、喫煙の風習をフランスに導入し流行させたニコJean Nicot(1530?―1600)にちなんで命名された。純粋なニコチンは無色・無臭・揮発性の油状液体で、水、アルコール、エーテルなどによく溶ける。沸点247℃。空気中では速やかに褐変する。この場合のタバコ臭は分解生成物による。
ニコチンはナス科のタバコの葉にリンゴ酸塩もしくはクエン酸塩として2~8%程度含まれているが、これは根で合成されたものが道管液とともに運ばれてきて葉に蓄積したものである。また、キク科のタカサブロウやトクサ科のスギナなどの植物にも含まれている。ニコチンは、タバコの葉の粉末から水で抽出し、アルカリを加えて塩基を遊離させ、水蒸気蒸留して得られる。猛烈な神経毒で、交感神経および副交感神経の神経節を刺激し、のちに麻痺(まひ)させる。その作用はシアン化物と同じくらい速く、成人の経口致死量は0.06グラムで、これは1本の葉巻タバコに含まれる量にほぼ相当するが、喫煙による摂取量ははるかに少ない。喫煙の習慣はほとんど精神的な欲求によるもので嗜癖(しへき)はみられない。ただし慢性中毒になると、咽頭(いんとう)や喉頭(こうとう)などのカタルをはじめ、心臓障害、視力減弱、めまい、動脈硬化などの症状がみられる。一方ニコチンは、ビタミンB1の合成原料として使われるほか、その硫酸塩は農業用殺虫剤として温室をいぶして駆虫するのに用いられる。
[上原亮太・馬渕一誠]
『米国保健省編、小田清一訳・著『アメリカ禁煙事情――米国式禁煙法とその評価』(1990・社会保険出版社)』▽『広島県医師会著『タバコやめますか 人間やめますか――これだけあるタバコの百害』(1992・ごま書房)』▽『死に至る薬と毒の怖さを考える会編『図解中毒マニュアル――麻薬からサリン、ニコチンまで』(1995・同文書院)』▽『ジョーダン・グッドマン著、和田光弘ほか訳『タバコの世界史』(1996・平凡社)』▽『沢田康文著『しのびよる身近な毒――O157、サリンからダイオキシン‥‥環境ホルモンまで』(1998・羊土社)』▽『日本禁煙推進医師歯科医師連盟編『ニコチン中毒ところかまわず』(2000・葉文館出版)』▽『宮里勝政著『タバコはなぜやめられないか』(岩波新書)』
(S)-3-(1-methylpyrrolidin-2-yl)pyridine.C10H14N2(162.24).ナス科タバコNicotiana tabacumにリンゴ酸塩またはクエン酸塩として含有されるピリジンアルカロイドの代表.タバコ葉に石灰乳を加えて塩基を遊離させ,水蒸気蒸留して,留出液をエーテルで抽出する.また,合成のDL-ニコチンをD-酒石酸塩として分割し,天然品と同一のL-ニコチンを得ることができる.特異臭のある無色の液体.沸点247 ℃.
1.0097.
1.5282.
-169°(水).pK1 6.16,pK2 10.96.吸湿性が強く,空気中で褐色にかわる.水,エタノールに可溶.中枢および末梢神経を興奮させ,腸および血管の収縮により血圧を上昇させる.さらに,おう吐,精神錯乱,けいれんを起こし,ヒトに対しては40 mg で死に至らしめる.気化ニコチンは毒性が強いので,硫酸ニコチンを石灰乳とまぜて殺虫用農薬や家畜用駆虫剤として用いる.LD50 50 mg/kg(ラット,経口).[CAS 54-11-5]
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…アセチルコリンは,副交感神経終末以外にも自律神経節,運動神経終末,中枢神経系などで興奮伝達物質として作動している。したがって,抗コリンエステラーゼ薬によってアセチルコリンの蓄積がおきた結果現れる作用は,副交感神経興奮作用(ムスカリン様作用とも呼ばれる)に加えて,自律神経節興奮や運動神経興奮に由来する作用(ニコチン様作用とも呼ばれる)および中枢神経系での作用が現れることもある。副交感神経興奮薬は,臨床的には,発汗,縮瞳,腸蠕動(ぜんどう)促進などの目的に使われる。…
…
【作物としてのタバコ】
[種類,形状]
ナス科タバコ属Nicotianaの植物で,通常一年草。タバコ属は現在65種が発見され,多くはニコチン,アナバシンなど数種類のアルカロイドを含んでいる。現在栽培されているのはそれらのうちニコチンを主アルカロイドとするタバコN.tabacum L.(英名tobacco)(イラスト)とマルバタバコN.rustica L.(英名Aztec tobacco)である。…
…なおリスボン滞在中ニコは新大陸渡来のタバコを入手して王母カトリーヌ・ド・メディシスに献上し,世上フランスにタバコを初めてもたらしたのは彼とされた。自らの辞典にもその名をもとにニコティアーヌnicotianeの名で説明があり,またニコチンの名も後に彼にちなんでつけられたものである。しかし事実は1556年ブラジル帰りの地誌学者・旅行家アンドレ・テベが持ち帰ったと考えられる。…
※「ニコチン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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