ニンジン(人参)
ニンジン
Daucus carota; carrot
セリ科の二年草。原産地は明らかではないが,西アジアや地中海地方できわめて古くから栽培され,現在,温帯地方で主要な根菜として広く栽培される。葉は根出葉,茎葉ともに羽状に細かく分裂し毛がある。春,長さ 60~100cmの花茎を伸ばし,球状の多数の散形花序をつける。多くの品種があり,根の色も黄,橙,赤など品種によって異なる。収穫期もまちまちで1年中出回るが,秋から冬にかけてが最盛期である。日本には江戸時代より以前に中国から入った。その後,比較的最近まで東洋系の根の長大な品種 (長さ 70cmをこすものがある) が主として栽培されていたが,近年は小型,中型の欧米系の品種が多く栽培されるようになってきた。根の色はカロテンによるもので,ビタミンAの含有量が高い。ニンジンの名は,チョウセンニンジンの略称として使うこともあるので,それと区別するためセリニンジンなどと呼ばれることもある。
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世界大百科事典 第2版
「ニンジン(人参)」の意味・わかりやすい解説
ニンジン【ニンジン(人参) carrot】
セリ科の一・二年草(イラスト)。当初導入されたものが,古来のチョウセンニンジン(ウコギ科)の根と似ていたためにニンジンと呼ばれるようになった。ニンジンの〈根〉は胚軸と根とが肥大したもので,その頂部から葉を叢生(そうせい)する。葉は2~3回羽状に裂けた複葉で,裂片は針状や披針形で,長い葉柄を有する。晩春,60~100cmに茎が伸長し開花する。花は複散形花序で,花色は一般に白色である。食用にされる貯蔵根の中心部は心と呼ばれ,形成層および木質部,髄から成り,心部の細いものが良品とされている。
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「ニンジン(人参)」の意味・わかりやすい解説
ニンジン(人参)【ニンジン】
ヨーロッパ,北アフリカ〜中央アジアの原産といわれるセリ科の一〜二年草。羽状複葉の根出葉を出し,根はふつう倒円錐形で肥大し長さ10cm〜1m,カロチンを含み黄〜赤色。夏,1m前後の花茎を出し多数の小型白花を開く。品種は東洋系と西洋系とに大別され,また長根種と短根種とにも分けられる。一般に表土の深い砂質壌土を好む。根はビタミンAが特に豊富で,生食,煮食のほか各種料理のつけ合せ,みそ漬,粕(かす)漬とする。また葉もビタミンAを多く含み,浸し物やパセリの代用ともされる。
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