生鮮品を含む食品・日用品などスーパーマーケットの店頭にある商品をインターネットなどで受注し、即日を含め短時間で宅配するサービス。インターネットとスーパーマーケットを組み合わせた和製英語で、インターネット通信販売(ネット通販)の一種である。配送料は1回当り100円台~500円台であるが、一定額(3000~5000円程度)以上購入すると配送料が無料になるケースが多い。買い物に出かける時間の限られた働く主婦や育児世代、重い荷物の持ち運びが困難な高齢者らの利用が多い。共働き世帯の増加や高齢化の進展に加え、「巣ごもり消費」(通販などを利用した在宅型消費)の増加もネットスーパーの利用を後押ししている。事業者側にとっても、顧客の住所、性別、年齢、家族構成、購入日時などの属性ごとにどのような商品が売れているかを分析し、売れ行きに応じて価格を柔軟に変えるなど、マーケティングに生かせる利点がある。スーパーマーケット全体の市場規模が縮小するなか、民間のマーケティング会社調査では、日本のネットスーパーの市場規模は2018年(平成30)に約1300億円程度に拡大したとされる。とくに雨天時、ガソリン代の高騰時、新型インフルエンザ流行時に利用が増える現象が確認されている。
1999年にイギリスのスーパー最大手のテスコが初めて本格的なサービスを開始し、日本では2000年(平成12)にスーパー大手の西友が試験的に始めた。その後、IT(情報技術)の普及に伴い、大半のスーパーやコンビニエンス・ストアが参入した。しかし膨大な品目ごとのきめ細かな管理や再配達にコストがかさみ、大半が赤字で、食品スーパーのサミットなど撤退する企業もある。一方、アメリカでは、通販大手アマゾン・ドット・コムが傘下のスーパーなどの生鮮食品の宅配を2007年から始め、日本でも2017年から生鮮品宅配を始めた。中国のネット通販大手アリババ集団はネットスーパー事業を強化し、小売大手ウォルマートはIT企業と提携して生鮮品のネット通販を拡充。日本では、IT企業大手の楽天と西友が2018年にネットスーパー事業で提携した。スーパー、コンビニなどの小売業とネット通販業者が提携し、ビッグデータを生かしたマーケティングでネットスーパー事業を強化する動きが世界規模で広がるとみられている。
[矢野 武 2019年4月16日]
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