精選版 日本国語大辞典 「ノーベル」の意味・読み・例文・類語
ノーベル
ノーベル
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スウェーデンの化学者、企業家、ダイナマイトの発明者。ストックホルムに生まれ、1841年生地の小学校に入学、1842年家族とともにサンクト・ペテルブルグに移住、以後正規の教育を受けることはなかった。サンクト・ペテルブルグでは、ノーベルの関心をニトログリセリンに向けた化学者ジーニンらに個人教授を受けた。17歳でスウェーデン、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカへ2年間の修業に出て、化学や機械学、語学を学んだ。クリミア戦争(1853~1856)の間は父の軍需工場を手伝い、機雷の敷設など実際的な技術を学んだ。1863年ストックホルムに戻り、黒色火薬や綿火薬にかわる、ニトログリセリンの研究を父とともに開始した。
ニトログリセリンは衝撃や摩擦で爆発するが、普通の火薬のように点火しただけでは爆発しない。これを爆薬に使うには安全で確実な爆発方法の開発が必要であった。ノーベルはヘレーネボルグに建てた実験所で50回を超える慎重な実験を行い、ニトログリセリンの爆発には全量を急激に爆発温度(170~180℃)に熱する必要があることを確かめた。1864年、密閉したニトログリセリンを起爆装置を使って爆発させることに成功、いわゆる「雷管」の特許を得た。このときの起爆剤は黒色火薬であったが、のちに雷酸水銀を使った。1866年、扱いにくい液体のニトログリセリンを固体状にするために、それを吸収させる固形物の実験を開始、1867年、珪藻土(けいそうど)にニトログリセリンをしみ込ませたダイナマイトを開発した。この間、ニトログリセリンの普及で爆発事故が相次ぎ、ノーベル自身弟を事故で失うなど多くの犠牲者が出て国際的物議を醸したが、彼は科学的、系統的な実験を繰り返した。1876年、より爆発力の大きいダイナマイトゴムを、1887年には200回以上の実験のすえ無煙ニトログリセリン火薬「バリスタイト」を開発した。
ダイナマイトは、産業資本を成立させた欧米諸国の帝国主義への飛躍の時代に、鉄道・土木ならびに軍事技術上の貴重なエネルギー源となった。各国にダイナマイト工場が建設され、1886年世界最初の国際的特殊会社「ノーベル・ダイナマイト・トラスト」を創設、ノーベルは巨万の富を得た。彼自身は平和を愛し、科学の進歩に信頼を寄せていたといわれる。彼が生涯に各国でとった355の特許は広い分野にわたり、世界市民を自称し、1873年フランスに、1891年からはイタリアに居を構え、1896年12月サン・レモで死去。その膨大な遺産は、平和思想の普及と科学進歩のためにとストックホルム科学アカデミーに寄贈され、ノーベル賞が設けられた。
[高橋智子]
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スウェーデンのストックホルムに生まれる.ロシアで事業をしていた父とともにサンクトペテンブルクに居住し,家庭教師について自然科学と語学,文学を学ぶ.1850~1852年には,独仏英米に遊学してさらに化学を学ぶ.父が事業に失敗したので,1863年父とともに母国に帰国した.爆薬性で不安定なニトログリセリンを板状けいそう土に吸収させることで,安定化に成功,“ダイナマイト”(1867年初特許)と名づけた.さらに無煙火薬“バリスタイト”(1875年),起爆技術の開発(とくに雷管)など,生涯に355の特許を取った.20か国にまたがる93の爆薬工場をもつ企業を,英独仏露とスウェーデン語の五か国語の知識を駆使してほとんど一人で経営した.その遺言によって,莫大な遺産の約9割を基金にし,その運用利益を5賞に分配する賞(ノーベル賞)ができた.1900年6月29日にそのための“ノーベル財団”が設立され,翌年から授与がはじまった.
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1833~96
スウェーデンの化学工業家,発明家。ダイナマイトを発明して特許を得(1867年),さらに無煙火薬も発明し(75年),これらで得た遺産を基金として,1901年ノーベル賞が設けられた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…名称は〈力〉を意味するギリシア語dynamisに由来。1866年A.B.ノーベルはニトログリセリンの強力な爆発威力に着目し,これをケイ藻土に吸収させてニトログリセリンよりも安全なケイ藻土ダイナマイトを発明した。75年にはニトログリセリンとニトロセルロースを混ぜてゲル状にしたブラスチングゼラチン(ゲルダイナマイトまたはニトロゲルとも呼ばれる)を発明,これはケイ藻土ダイナマイトより強力で,現在のダイナマイトの基本型となった。…
…ニトログリセリンは,それまで使われてきた黒色火薬の7倍の威力があったが,黒色火薬と違って導火線で火をつけるだけでは燃えるのみですぐには爆発しない。A.B.ノーベルはニトログリセリンを確実に爆発させる雷管を発明して,ニトログリセリンおよびそれに続くダイナマイトの起爆方法を確立した。またニトログリセリン単独では危険すぎるので,ノーベルはそれを安全にして使えるケイ藻土ダイナマイト,ゼラチンダイナマイトを発明して,ニトログリセリンの爆薬原料としての地位を確立した。…
…ダイナマイトの発明者A.B.ノーベルが建設した爆薬工場を前身とする爆薬製造会社。イギリスの化学会社ICI(インペリアル・ケミカル・インダストリー)社が1926年設立されたとき,母体となった4社のうちの一つ。…
※「ノーベル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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