ハイビスカス(英語表記)hibiscus
rose mallow

デジタル大辞泉 「ハイビスカス」の意味・読み・例文・類語

ハイビスカス(hibiscus)

アオイ科フヨウ属の植物の総称。ムクゲフヨウなどがあり、特にブッソウゲおよびその園芸品種をさす。ヒビスカス 夏》

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ハイビスカス」の意味・読み・例文・類語

ハイビスカス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] hibiscus ) アオイ科フヨウ属の属名。日本ではふつう、ハワイ諸島・沖縄などの熱帯で栽植される熱帯アフリカ原産のフウリンブッソウゲとその近似種をさす。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「ヒビスカスの花を捲いたしなやかな褐色の女たち」(出典:冬の宿(1936)〈阿部知二〉六)

ハイビスカスの語誌

( 1 )日本へは江戸時代に渡来し、当時は「ぶっそうげ(仏桑花)」などと呼ばれていた。
( 2 )現代ではハイビスカスの語形で通用するが、挙例の「冬の宿」のように「ヒビスカス」と呼ばれることもある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ハイビスカス」の意味・わかりやすい解説

ハイビスカス
hibiscus
rose mallow

ヒビスカスともいう。一般にハイビスカスと呼ばれている植物はブッソウゲを指すが,これはもともと雑種植物であるために変異に富み,近年ハワイでの交雑種を含めて呼ばれるようになり,さらに類似のフヨウ属Hibiscus植物を漠然と指すこともあって,きわめて複雑なアオイ科の園芸種群の総称ともなっている。

 ブッソウゲH.rose-sinensis L.(英名rose of China,Chinese hibiscus)は,きわめて変異に富むが,一般的には高さ2~5mに達する熱帯性低木で,全株無毛ときに有毛,葉は広卵形から狭卵形あるいは楕円形で先端はとがる。花は戸外では夏~秋に咲くが,温室では温度が高ければ周年開花する。花は小さいものでは直径5cm,大きいものでは20cmに及び,らっぱ状または杯状に開き,花柱は突出する。花が垂れるもの,横向きのもの,上向きのものなど変化に富む。花色は白,桃,紅,黄,橙黄色などさまざまである。通常,不稔性で結実しないことが多い。日本では南部を除き戸外で越冬できないため,鉢植えとして冬は温室で育てる。鉢植えの土は砂,ピートなどを多く混ぜた軽いものを用い,ときに液肥をあたえる。繁殖は通常,挿木で行い,梅雨期に一年枝を砂にさし,発根後土に植える。大輪種は在来種に接木を行う必要がある。沖縄では庭木,生垣とするが,通常,鉢植えで観賞する。中国では赤花種の花を食用染料としてシソなどと同様に用い,また熱帯アジアでは靴をみがくのに利用するといわれ,shoe flowerの別名がある。沖縄南部では後生花(ごしようか)と呼ばれ,死人の後生の幸福を願って墓地に植栽する習慣がある。ブッソウゲは原産地が不明であるが,インド洋諸島で発生した雑種植物であるとの説もある。

 フウリンブッソウゲH.schizopetalus Hook.fil.(英名fringed hibiscus,cut-petaled hibiscus,coral hibiscus)はザンジバル島原産のブッソウゲの近縁種で,花は小さく,長い花柄を有し,風鈴のように垂下して咲く特徴がある。

 ヒメブッソウゲMalvaviscuseus orboreus Cav.は別属の植物で,中南米原産の観賞用低木である。花は小さく,直径2~3cm,赤花で,花弁は開かない。この属の植物は,花柱の上部で10本に分岐し,果実液果を結ぶなどの点がフヨウ属とは異なる。

 ハイビスカスと総称されるフヨウ属には他にも草本で観賞用に栽植される種や交配種多数ある。
フヨウ →ムクゲ →モミジアオイ
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ハイビスカス」の意味・わかりやすい解説

ハイビスカス

ブッソウゲ(仏桑花)とも。観賞用に温室で栽培されるアオイ科の常緑低木で,原産地は不明であるが,雑種起源との説もある。葉は濃緑色で広卵〜卵形,縁にあらい鋸歯(きょし)がある。花は葉腋から1輪ずつ咲き,5枚の花弁の基部がくっついた広い漏斗(ろうと)状で径10cm余りに開く。色は赤だが,園芸品種には黄,だいだい,紫紅,桃,白等変異が多い。さらに,他種との交雑により,〈ハワイアン・ハイビスカス〉と総称される膨大な園芸品種群も成立している。多数のおしべの花糸が筒状に合体し,その筒の中からめしべの花柱が現れて,5裂した柱頭を見せているので,一見花柱の途中に多数のおしべがついているように見える。別種のフウリンブッソウゲも雑種起源を疑われている種で,花はたれ下がって咲き,花弁の先が細かく線状に裂けてそり返る。ともに挿木でふやす。同属に日本産のハマボウがあり,またムクゲフヨウが栽培されている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

食の医学館 「ハイビスカス」の解説

ハイビスカス

ハイビスカスというと観賞用の赤い花でおなじみですが、ハーブとして用いるのは別の品種。こちらはオレンジがかったクリーム色の花をもち、和名を食用ハイビスカスといいます。
 ハイビスカスのおもな有効成分は、ビタミンC、カリウムおよび、クエン酸やリンゴ酸をはじめとする有機酸類で、そのおもな作用は新陳代謝の促進、具体的症状としては、疲労倦怠(ひろうけんたい)、眼精疲労、二日酔いなどに効果があります。
○食品としての使い方
 ハーブとしてのハイビスカスは、花や葉ではなく、花のガクと花を支えている総苞(そうほう)という部分を用います。生のものはジャムやソースにするのが一般的で、塩味で浅漬けにしても美味。また、乾燥品はハーブティー、シャーベット、ゼリーなどによく利用されます。

出典 小学館食の医学館について 情報

今日のキーワード

ゲリラ豪雨

突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...

ゲリラ豪雨の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android