ヒビスカスともいう。一般にハイビスカスと呼ばれている植物はブッソウゲを指すが,これはもともと雑種植物であるために変異に富み,近年ハワイでの交雑種を含めて呼ばれるようになり,さらに類似のフヨウ属Hibiscus植物を漠然と指すこともあって,きわめて複雑なアオイ科の園芸種群の総称ともなっている。
ブッソウゲH.rose-sinensis L.(英名rose of China,Chinese hibiscus)は,きわめて変異に富むが,一般的には高さ2~5mに達する熱帯性低木で,全株無毛ときに有毛,葉は広卵形から狭卵形あるいは楕円形で先端はとがる。花は戸外では夏~秋に咲くが,温室では温度が高ければ周年開花する。花は小さいものでは直径5cm,大きいものでは20cmに及び,らっぱ状または杯状に開き,花柱は突出する。花が垂れるもの,横向きのもの,上向きのものなど変化に富む。花色は白,桃,紅,黄,橙黄色などさまざまである。通常,不稔性で結実しないことが多い。日本では南部を除き戸外で越冬できないため,鉢植えとして冬は温室で育てる。鉢植えの土は砂,ピートなどを多く混ぜた軽いものを用い,ときに液肥をあたえる。繁殖は通常,挿木で行い,梅雨期に一年枝を砂にさし,発根後土に植える。大輪種は在来種に接木を行う必要がある。沖縄では庭木,生垣とするが,通常,鉢植えで観賞する。中国では赤花種の花を食用染料としてシソなどと同様に用い,また熱帯アジアでは靴をみがくのに利用するといわれ,shoe flowerの別名がある。沖縄南部では後生花(ごしようか)と呼ばれ,死人の後生の幸福を願って墓地に植栽する習慣がある。ブッソウゲは原産地が不明であるが,インド洋諸島で発生した雑種植物であるとの説もある。
フウリンブッソウゲH.schizopetalus Hook.fil.(英名fringed hibiscus,cut-petaled hibiscus,coral hibiscus)はザンジバル島原産のブッソウゲの近縁種で,花は小さく,長い花柄を有し,風鈴のように垂下して咲く特徴がある。
ヒメブッソウゲMalvaviscuseus orboreus Cav.は別属の植物で,中南米原産の観賞用低木である。花は小さく,直径2~3cm,赤花で,花弁は開かない。この属の植物は,花柱の上部で10本に分岐し,果実は液果を結ぶなどの点がフヨウ属とは異なる。
ハイビスカスと総称されるフヨウ属には他にも草本で観賞用に栽植される種や交配種が多数ある。
→フヨウ →ムクゲ →モミジアオイ
執筆者:立花 吉茂
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