ハインリヒ
(Heinrich)
[一] (一世) ドイツ、ザクセン朝初代の王(在位
九一九‐九三六)。オットー一世の父。マジャール人の
侵入を退け、
東方のドイツ化、キリスト教化につとめ、都市建設王といわれる。(
八七六頃‐九三六)
[二] (二世) ドイツ、ザクセン朝最後の王。神聖
ローマ皇帝(在位
一〇一四‐二四)。二度イタリアに
遠征、教会を保護し、聖者王といわれた。(
九七三‐一〇二四)
[三] (三世) ドイツ、ザリエル朝第二代の王。神聖ローマ皇帝(在位
一〇四六‐五六)。
ボヘミア、
ハンガリーを
征服、南イタリアのノルマン人を従えた。教会の
腐敗を粛正し、帝権の
伸張に努めた。(
一〇一七‐五六)
[四] (四世) ドイツ、ザリエル朝第三代の王。神聖ローマ皇帝(在位
一〇八四‐一一〇六)。教皇グレゴリウス七世と僧職叙任権をめぐって
争い(カノッサの
屈辱)、
諸侯の
離反、子どもとの
対立など、
波乱の生涯をおくる。(
一〇五〇‐一一〇六)
[五] (五世) ドイツ、ザリエル朝第四代の王。神聖ローマ皇帝(在位
一一一一‐二五)。ハインリヒ四世の次子。一一二二年教皇カリクストゥス二世と
ウォルムス協約を結び、
叙任権闘争を解決した。(
一〇八一‐一一二五)
[六] (六世) ドイツ、ホーエンシュタウフェン朝第三代の王。神聖ローマ皇帝(在位
一一九一‐九七)。フリードリヒ一世の子。一一九四年ナポリ、
シチリアを平定してシチリア王となる。ギリシア遠征中に
死去。(
一一六五‐九七)
[七] (七世)
ルクセンブルク家のドイツ
国王。神聖ローマ皇帝(在位
一三一二‐一三)。いわゆる諸家交立時代の国王。オットー一世以来の
皇帝政策を
継承、イタリアに干渉した。一三一三年没。
[八] ザクセン公およびバイエルン公。
リューベックなどの商業都市を築き、多くの司教領を設けて、北東ドイツの
開拓、
植民に努めた。豪胆だったので
獅子公と呼ばれた。一一九五年没。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「ハインリヒ」の意味・読み・例文・類語
ハインリヒ(Heinrich)
(1世)[876~936]中世ドイツ、ザクセン朝初代の国王。在位919~936。オットー1世の父。マジャール人の侵入を退け、東方のドイツ化、キリスト教化に努めた。
(4世)[1050~1106]中世ドイツ、ザリエル朝第3代の国王・神聖ローマ皇帝。在位1056~1106。聖職叙任権問題で教皇グレゴリウス7世と争って破門され一時は屈服したが、のち反撃して同教皇を追放、帝位を確立した。→カノッサの屈辱
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