バドミントン(英語表記)badminton

翻訳|badminton

デジタル大辞泉 「バドミントン」の意味・読み・例文・類語

バドミントン(badminton)

球技の一。コート中央の高いネットを挟み、小型のラケットシャトルコックを打ち合って得点を競う競技。インドのプーナ(現プーネ)地方のゲームが英国に伝わり、世界中に普及。羽球うきゅう
[補説]オリンピックでは1992年のバルセロナ大会から正式種目に採用され、男女シングルス・男女ダブルス混合ダブルスが行われる。

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精選版 日本国語大辞典 「バドミントン」の意味・読み・例文・類語

バドミントン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] badminton ) インドに発生した運動競技で、羽球(シャトルコック)をラケットでネット越しに打ち合うもの。一九世紀中頃イギリスへ伝えられルールなどが定められて発展。日本には大正時代に渡来した。
    1. [初出の実例]「バドミントンをやるにはそこばくの空地が必要だ」(出典:舞踏(1950)〈庄野潤三〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「バドミントン」の意味・わかりやすい解説

バドミントン
badminton

ラケットを使って,シャトルコック(シャトルともいう)と呼ばれる羽根をネットで二分したコートで打ち合うスポーツ。シングルスまたはダブルスでプレーする。シャトルは最強打のスマッシュで打ち出された場合時速310kmに達し,力を失うと時速ゼロとなる。この急激なシャトルのスピードの変化にいかに即応するかがバドミントンのおもしろさであり,むずかしさである。

1873年ごろ,イギリスのグロスターシャーのボーフォート公爵の所領バドミントンで確立したといわれ,93年にバドミントン協会が結成された。16世紀以前からあった羽根つきbattledore and shuttlecockの発展したもので,軍人によってインドに伝えられ,ボンベイに近いプネー地方で1870年代中ごろ最初の規則がつくられたため,プネーを起源とする説もある。草創期は大きな館や大広間のある裕福な貴族や上流階級の人々に愛好され,フェアプレー精神が尊重されるスポーツとなっている。1920年代にはイギリス全域に普及し,34年には国際バドミントン連盟International Badminton Federation(IBF)が結成された。その初代会長G.トマスの寄贈によるトマス杯を争う男子世界選手権大会が48年から,イギリスの女流選手H.S.ユーバーの寄贈によるユーバー杯を争う女子世界選手権大会が56年から,いずれも3年ごと(84年以降は隔年開催)の国別団体戦として開催されている。個人タイトル戦は1899年以来の全英選手権が有名であるが,1977年から個人選手権の世界選手権が始まり,2005年からオリンピックの年を除いて毎年開催されている。1979年からはマスターズの大会も毎年の開催となった。

 日本では1787年(天明7)の《紅毛雑話》に〈西洋館にて閑暇なる時は,遣羽子をつきて遊ぶとなり〉とあり,ウーラング(羽子)とラケット(羽子板)として紹介されている図がバドミントンに類似するが,本格的には1902年に東京や神戸に在住する外国人から伝えられたとされる。37年に横浜YMCAに国内第1号のクラブが誕生し,東京や神戸のYMCAに普及していった。42年には慶応義塾大学にクラブが結成され,第2次大戦後各大学に普及した。46年日本バドミントン協会が設立され,翌年から天皇,皇后杯を争う全日本選手権が開催された。66年の第4回ユーバー杯大会で日本女子が初出場,初優勝の快挙を演じ,以後学生,社会人の間で競技人口が増大し,現在では社会体育の一環として公営体育館や学校施設などで手軽な屋内スポーツとして人気種目となっている。

 現在バドミントンの盛んな国としては,ヨーロッパではイギリス,デンマークスウェーデン西ドイツスイスなど,アジアでは中国,インドネシアマレーシア,韓国,そして日本などがある。とくに中国は毛沢東主席時代,バレーボールや卓球とともに強化種目として全土から逸材を集めた。一時,親中国諸国が結束して世界バドミントン連盟を設立したこともあったが,1981年IBFに加盟し,82年の第12回トマス杯大会に初出場,初優勝した。日本は女子が強く,堅守反撃を得意とし,1966,69,72年と3連覇,さらに78,81年にも2連覇を達成した。アメリカ大陸ではアメリカが1956年の第1回大会から第3回大会まで連続ユーバー杯を保持したが,その後衰退し,代わってカナダが女子を中心に力をつけつつある。

 1980年にIBFによってアマチュアでも賞金をもらってかまわない,というライセンスプレーヤー制度が認められたため,日本をはじめアジア圏は従来のアマチュア中心だが,ヨーロッパの一流選手はほぼ全員といえるくらいライセンスプレーヤーとなった。また,92年のバルセロナ大会よりオリンピック正式種目となり,男女単複,混合複の5種目が実施された。

室内コートで行い,コートはシングルスは縦13.40m,横5.18m,ダブルスは横6.10m,縦はシングルスと同じで,中間に両端の高さ1.55m,幅0.76mのネットを張る。一般には図のようにダブルス用のラインも引いたコートを使用する。ラケットのフレームは,全長で680mm以内,幅230mm以内とする。シャトルはコルクをキッド皮でくるんだ直径2.5~2.8cmの台に,14~16本の羽根を6.4~7.0cmの長さに植えたもので,重さは4.74~5.50gとする。シャトルは,温度,湿度,気圧の影響を受けて微妙に飛び方が変わる。ニワトリの羽根も使われるが,現在では中国を主産地とするガチョウの羽根が主力となっている。ただ痛みやすいため,ナイロン製など合成シャトルもつくられている。

 試合に先立ちトスでサービス側(インサイドという)を決め,腰よりも低い位置からアンダーハンドのサーブを行う。サービスはいかなる場合も,ネットを隔てて対角線上の相手サービスコート内に行う。以後はノーバウンドでラリーを続ける。シングルスは内側のサイドラインを,ダブルスは外側のサイドラインを使用する。試合はシングルス,ダブルスとも以前は1ゲーム15点(女子シングルスは11点)で,サービス権をもっている側がラリーに勝ったときだけ1点が与えられたが,2006年からラリーポイント方式の新ルールとなった。新ルールでは,サーブ権に関わらずラリーに勝った方にポイントが与えられる。1ゲームは21点先取で,20対20の場合はデュースとなり,どちらかが2点差をつけるか,あるいは30点に達するまで行われる。サービスはサーバーから見て対角線側のコートに打つ。シングルスでは,自分の得点が偶数のときはコートの右側から,奇数のときは左側からサービスを行う。ダブルスでは,サービス側がラリーに勝った場合,サーバーが左右を変えてサービスを行う。レシーバーが勝った場合は,得点が偶数なら右側から,奇数なら左側から,直前にサービスを受けたプレーヤーが行う。種目としては男女各シングルス,男女各ダブルス,混合ダブルスがあり,団体戦はトマス杯,ユーバー杯ともシングルス3試合,ダブルス2試合で争われる。試合には主審,サービスジャッジ,線審を置く。

 ストロークには,高い打点から急角度で打ち下ろすスマッシュ,空中高く打ち上げ遠くへ飛ばすクリア(ロブともいう),ネットすれすれに弾丸のように飛ばすドライブ,途中で急落下させるドロップショットなどがあり,高度の戦法が可能である。試合では技術の正確さだけではなく,いかにフェアに戦うか,心技体のバランス,パートナーとのチームワーク,コートのどの地点をねらうかの地域攻防(ゾーンプレー),選手間同士のマン・ツー・マン攻防の巧拙,チェンジ・オブ・ペースとチェンジ・オブ・ディレクション(方向転換)の配分のうまさなどが問われる。
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百科事典マイペディア 「バドミントン」の意味・わかりやすい解説

バドミントン

中央にネットを張ったコート内に競技者が相対し,シャトルコック(羽根のついた球)をバウンドさせることなくラケットで打ち合う競技。ネットの上縁の高さは中央で1.524m,支柱のところで1.55m。競技にはシングルスとダブルスがあり,いずれも試合は原則として3ゲーム行い2ゲーム先取したほうが勝者となる。ただし各ゲームは15点(女子シングルスのみ11点)先取したほうが取り,得点はサービス側が勝った場合のみ与えられ,レシーブ側が勝った場合にはサービス権を得るにとどまる。日本の羽根突きに類似した遊びは古今東西で行われていたが,16世紀以前からヨーロッパで行われていたもの(battledore and shuttlecock)をもとに,19世紀半ば,英国のズロスターシャのボーフォート公爵の所領バドミントンで確立したとされる。インドでも盛んに行われ,ボンベイ(ムンバイ)に近いプーナで最初の規則が作られたとする説もある。トマス杯(男子),ユーバー杯(女子)をかけて2年ごとに世界選手権大会が行われる。オリンピック種目としては,1992年のバルセロナオリンピックから正式種目。男女シングルス,男女ダブルス,混合ダブルスが実施される。強豪は男女とも中国で,2012年のロンドンオリンピックまでのメダル獲得数38は2位の韓国・インドネシアの18を大きく引き離している。日本は2012年ロンドンオリンピック女子ダブルス(藤井瑞希・垣岩令佳組)で銀メダルを獲得した。
→関連項目インディアカ

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知恵蔵 「バドミントン」の解説

バドミントン

ネット越しにラケットで、羽毛を半球状のコルクに植え込んだシャトルコックを打ち合い、得点を競う球技。コートの大きさは6.1m×13.4mで、ネットの高さは1.55m。ゲームは男子のシングルスとダブルス、女子のシングルスとダブルス、それに混合ダブルスの5種類があり、これらの組み合わせで団体戦も行われる。得点方法は、2006年春から国際大会ではサービス権に関係なくポイントが入るラリーポイント制が採用された。男女の単複ともに1ゲーム21ポイント(デュースの場合最大30ポイント)で、2ゲーム先取の3セットマッチとなる。サービスを打つ際、打点が腕を真っすぐ下した時の肘の位置より下、ラケットヘッドが手首より下でなければならない。

(中西康己 筑波大学人間総合科学系 / 2007年)

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とっさの日本語便利帳 「バドミントン」の解説

バドミントン

バドミントン(Badminton)▼英グロースターシャーにあるボーフォート公の所領と邸館(バドミントン・ハウス)の名称。一八七〇年代、雨天時の遊びとして、この邸館の子供部屋でラケットと羽根の形に似たシャトルコックを用いた室内ゲーム「バドミントン」が考案され、その後、世界的な人気を持つ競技となる(競技そのものは、英国人がインドからとり入れたという説もある)。

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