改訂新版 世界大百科事典 「バーカー」の意味・わかりやすい解説
バーカー
Harley Granville Barker
生没年:1877-1946
イギリスの俳優,劇作家,演出家。後年はグランビル・バーカーを姓とする。W.ポール主宰のエリザベス朝舞台協会などで活躍した後,ローヤル・コート劇場を本拠としてイギリス演劇の芸術的水準の向上と近代化とに努力。イプセン,G.ハウプトマン,A.シュニッツラーなどの外国作家の作品やG.B.ショー,J.ゴールズワージーなどイギリス作家の新作を上演し,しばしばみずから演出と主演を兼ねた。他方,ポールの影響を受けて,簡素な装置を用いて劇の流れを重視したシェークスピア上演にも功績があった。生前には実現しなかったが,シェークスピア劇を中心演目とする国立劇場の必要性をも説いた。第1次大戦のころからは現場を離れ,研究や講演に力を注いだ。その成果の一つが《シェークスピア序論集》(1927-47)である。自作の戯曲には,《ボイシーの遺産》(1905初演),《マドラス商店》(1910初演)などがある。
執筆者:喜志 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報