バーミヤーン

百科事典マイペディア 「バーミヤーン」の意味・わかりやすい解説

バーミヤーン

アフガニスタンカブールの西方,ヒンドゥークシ山脈の渓谷にある仏教遺跡。インド中央アジア西アジア交通路要衝に当たる。絶壁に彫られた高さ38mと55mの巨大な石仏を中心に多数の石窟が掘られている。石仏はガンダーラ様式にペルシアの影響を加味したもので,龕(がん)の装飾壁画もガンダーラ様式とペルシア様式が認められ有名であったが,2001年夏イスラム原理主義を標榜する政治集団タリバーンによって爆破された。2003年,世界文化遺産に登録。→石窟寺院

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バーミヤーン」の解説

バーミヤーン
Bāmiyān

アフガニスタン,ヒンドゥークシュ山中にある仏教石窟。断崖に約1000の石窟と高さ55mと38mの2大立仏,3坐仏が開鑿(かいさく)された。石窟,仏龕(ぶつがん)内部には壁画が描かれ,グプタ朝サーサーン朝の影響が濃く,二大石仏とその壁画の年代は400年頃と推定される。630年,玄奘(げんじょう)がここを訪れたとき,僧徒数千人がなお存在していた。9世紀にイスラーム化し,活動は停止した。ユネスコの世界文化遺産とされていたが,アフガン紛争中,2001年3月に二大石仏は爆破された。

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世界大百科事典 第2版 「バーミヤーン」の意味・わかりやすい解説

バーミヤーン【Bāmiyān】

アフガニスタンの中央部,ヒンドゥークシュとコーヒバーバー両山脈の間の東西に長い渓谷中にあり,北はアフガントルキスタン(アフガニスタンのうち,ヒンドゥークシュ山脈以北の地域)から中央アジア,東や南はインドに通じ,両世界の接点に位置した。現在はハザラジャートの東の入口に当たる寒村にすぎないが,バーミヤーン川とその支流によって造成されたレキ岩台地の崖面に1kmにわたって,約1000の6~9世紀の仏教石窟が残り,なかでも中心部石窟群の東と西とにそれぞれ38mと55mの大仏立像を彫り出した巨大な龕(がん)は古来有名である。

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世界大百科事典内のバーミヤーンの言及

【石仏】より

…8世紀以後のパーラ朝時代には,硬質の玄武岩を用いて複雑な図像の密教的な像などが多く作られ,この時代の石仏はネパール,チベット,東南アジアなどの仏像に大きな影響を与えた。 クシャーナ朝時代のガンダーラの石仏は西隣のアフガニスタンに影響を与え,カーブル北西のバーミヤーンには4~6世紀ころの製作と思われる像高55mと38mの大磨崖仏が現存する。仏教の東漸にしたがい中央アジア諸地方でも仏像は多く作られたが,ここでは石材が少ないために塑像が主流で,石仏の遺品は少ない。…

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