バーレスク(その他表記)burlesque

翻訳|burlesque

デジタル大辞泉 「バーレスク」の意味・読み・例文・類語

バーレスク(burlesque)

17、8世紀、英国中心に流行した風刺喜歌劇。19世紀以後は、大衆向きのこっけい寸劇物真似ものまね芸などとなり、多くショーの間に挿入して上演される。米国では、寸劇などをまじえたストリップショーをいう。

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精選版 日本国語大辞典 「バーレスク」の意味・読み・例文・類語

バーレスク

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] burlesque ) 一七~一八世紀、イギリスを中心に流行した風刺的喜劇。ゲー、フィールディング、シェリダンらが代表的作家。一九世紀以後、風刺性を失って寸劇風に演じられる滑稽劇、道化芝居物真似バラエティーショーなど大衆向け娯楽劇の総称となり、レビューやボードビルなどと同義に使われるようになった。
    1. [初出の実例]「一応は型をつけて貰はないと、洒落にも、バレスクにもならない」(出典:閑散無双(1934)〈徳川夢声〉両手のある丹下左膳)

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改訂新版 世界大百科事典 「バーレスク」の意味・わかりやすい解説

バーレスク
burlesque

からかうことを意味するイタリア語〈ブルラburla〉から生まれた言葉で,既存のジャンルの約束事や既存の作品の特徴を茶化した文学作品を指す。イギリスでとくに盛んで,S.バトラーの《ヒューディブラス》(1662,63,78)やA.ポープの《髪の毛の略奪》(1712)のような詩,H.フィールディングの《シャミラ》(1741)や《ジョゼフ・アンドルーズ》(1742)のような小説など,あらゆるジャンルにわたるが,とりわけ劇に多い。たとえば,F.ボーモントの《輝けるすりこぎの騎士》(1607ころ初演。以下初演年)はジェームズ朝の大衆劇や観客の趣味についての,バッキンガム公爵などによる《舞台稽古》(1671)やR.B.シェリダンの《批評家》(1779)は英雄悲劇についての,またJ.ゲイの《乞食オペラ》(1728)はイタリア・オペラについての,それぞれバーレスクである。しかしバーレスクは単なるパロディにとどまらず,俳優が他者を演じるという演劇芸術の大前提を意識化する。すなわち,演技があまりに現実離れしているとその虚構性が,またあまりに現実に密着しているとその非演劇性が批判されるのである。19世紀のイギリスでは,バーレスクはそれまでのものほど鋭い風刺性をもたず,平易な笑いに依存する大衆的で文学性の乏しい特定のジャンルを指すようになった。その代表作家はバイロンHenry James Byron(1834-84)で,彼の劇には当時流行していたメロドラマのパロディという面もある。同じことはW.S.ギルバートの戯曲やA.S.サリバンとともに作った一連の〈サボイ・オペラ〉にも指摘できる。

 他方,アメリカでは,バーレスクは19世紀後半から盛んになった性的な素材によって笑いを誘う寸劇,女性の肉体美を売りものにする踊り,奇術,歌などからなる,大衆芸能を主として指す。これはやがて女性の裸体に中心をおくようになり,ストリップティーズstriptease(ストリップショー)と呼ばれるに至るが,このジャンルで芸を磨き,のちにせりふ劇,ミュージカル,映画などに進出した芸人は非常に多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーレスク」の意味・わかりやすい解説

バーレスク
ばーれすく
burlesque

本来は文学、演劇、音楽などにおいて、正統的な作品を改作、戯画化したもので、もじり詩、風刺文、戯作、茶番狂言などをいうが、今日一般には各種のショーの間に挿入されるコントや物真似(まね)など大衆的な演芸を称していう。興行全体をさすこともあり、この場合はバラエティ、ボードビルなどと区別しがたい。「悪ふざけ」「冗談」の意のイタリア語ブルラburlaから発したブルレスコburlescoがフランス語ビュルレスクburlesqueとなり、さらに英語化したもので、ドイツではブルレスケBurleskeという。

 その起源は古代ギリシアのホメロスの作品にもみられるが、16世紀のイタリアにこの種の傾向が生まれ、ベルニ、カポラーリらの作家が活躍した。1630年ごろからフランスへ入って流行、スカロン、ダスシらビュルレスク派とよばれる作家たちが登場、いわゆるパロディー形式を生み出した。イギリスでもジョン・ゲイ、フィールディング、シェリダンらが現れ、一時正統演劇をしのぐほどの勢いをみせたが、その後しだいに本来の風刺精神を失い、19世紀に入ると単なる大衆向けの娯楽劇と化し、今日のような形式へと変容した。アメリカでは裸ショーと同義で、わが国でもストリップショーの代替語としてしばしば使われている。

[向井爽也]

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百科事典マイペディア 「バーレスク」の意味・わかりやすい解説

バーレスク

元来既存のジャンルや作品の特徴を茶化した作品をいった。特に演劇では,まじめな劇や話題を茶化したり,有名人のしぐさを滑稽(こっけい)化したりする見世物の一つ。米国ではコーラスガールと寸劇を組み合わせた,一種のストリップショーとして,20世紀初め大流行をみた。→カリカチュアパロディ
→関連項目シェリダン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーレスク」の意味・わかりやすい解説

バーレスク
burlesque

イタリア語の burla (冗談,からかい) を語源とし,17~18世紀のイギリスでは,同時代の文学や演劇,音楽作品などを風刺したパロディーの意。 19世紀に入って風刺・批評の意味は薄れ,アメリカでは歌や踊り,寸劇,アクロバットなどをとりまぜた大衆的な娯楽となって発展した。第1次世界大戦後これにストリップショーが加わり,ジプシー・ローズ・リーらが登場して人気を得たが,1942年法律で禁止された。

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