日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリ天文台」の意味・わかりやすい解説
パリ天文台
ぱりてんもんだい
Observatoire de Paris
フランス、パリにある天文台。1667年設立。初代台長は、土星の環に空隙(くうげき)があることを発見したイタリア人のカッシーニ。イギリスのグリニジ天文台と同じように天体の位置観測を精力的に行い、とくに太陽系の天体運動の研究を通じ天体力学を発展させてきた。ルベリエによる海王星の発見(1846)はその偉大な成果といえる。19世紀の終わりごろ、天体物理学の研究のためにパリ郊外にムードン天文台が建設された。ムードン天文台には数百人の研究員がおり、星の分光や星雲の測光のほか、人工衛星や気球を使った観測を行っている。一方、パリ天文台では少人数で地球の自転の問題を中心に研究をしている。
[磯部琇三 2015年5月19日]