ワーグナー作曲の楽劇。中世の叙事詩に基づいて自ら台本をつくり、1882年に完成、同年バイロイト祝祭劇場初演。全三幕。舞台神聖祭典劇Bühnenweihfestspielと題されている。物語は中世スペインのモンサルバート城を舞台に展開する。十字架上のキリストの血を受けた聖杯を守る騎士団の王アムフォルタスは、妖女(ようじょ)クントリーの愛欲に迷って魔術師クリングゾルに重傷を負わされ、騎士団は没落の一途をたどるが、「清き愚者」パルジファルがさまざまな遍歴を経て「同情」を知り、老騎士グルネマンツに導かれてアムフォルタスとクントリー、そして騎士団を救済する。この神秘的な物語には最晩年のワーグナーの宗教観・世界観(キリスト教を題材としているが東洋思想の影響も強い)が如実に現れ、音楽も穏やかな外見にかかわらず『トリスタンとイゾルデ』以上に急進的なスタイルで書かれている。ワーグナーの死の前年に初演されたこの作品は、1913年まで同劇場以外での上演が禁止されていたほど神聖視されていた。日本初演は1967年(昭和42)二期会による。
[三宅幸夫]
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…このような望ましい人格のあり方としての〈賢い愚者〉という観念は,ロマン主義の時代になると民衆性を失って矮小化し,理性によって曇りをかけられる以前の,高い徳目をもつ清らかな愚者による俗的理性の救済や両者の対立に置きかえられた。ドストエフスキーの長編小説《白痴Idiot》(1868)やワーグナーの楽劇《パルジファルParsifal》(1882初演)には,このテーマが見られる。現代では,1960年代後半以降,創造的混沌という精神のあり方が再評価されてきており,その脈絡の中で,道化,カーニバル的精神などとともに,愚者という知のあり方も再検討されている。…
※「パルジファル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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