パンドラ(英語表記)Pandōrā

デジタル大辞泉 「パンドラ」の意味・読み・例文・類語

パンドラ(Pandōrā)

ギリシャ神話で、人類最初の女性プロメテウス天上の火を盗んで人間に与えたのを怒ったゼウス復讐ふくしゅうのためにつくらせ、地上に送り出したという。
Pandora土星の第17衛星。1980年に発見。名はに由来。非球形で平均直径は約80キロ。

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精選版 日本国語大辞典 「パンドラ」の意味・読み・例文・類語

パンドラ

  1. ( [ギリシア語] Pandōra すべての贈物を与えられた女の意 ) ギリシア神話中の人類最初の女性。プロメテウスが天から盗んだ火を人間に与えたために人間が高慢になったので、災いの詰った箱をもたせてゼウスが地上に送った女。
    1. [初出の実例]「此の中が『パンドラ』とは女の名にして、『ビクセ』とは函の名なり」(出典:天竺行路次所見(1886)〈北畠道龍〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「パンドラ」の意味・わかりやすい解説

パンドラ
Pandōra

ギリシア神話で,人類最初の女。プロメテウスが天上の火を盗んで人間に与えたとき,怒ったゼウスは,人間どもにその恩恵代償を支払わせるべく,鍛冶の神ヘファイストスに命じて粘土で女を造らせ,他の神々から女性としての魅力や美しい衣装などを授けられた彼女をパンドラ(〈すべての贈物を与えられた女〉の意)と名づけて地上に下し,プロメテウスの弟のエピメテウスに与えた。このとき彼女は神々からのみやげとして1個の壺(いわゆる〈パンドラの箱〉)を持参していたが,好奇心にかられた彼女がそのふたを開けると,中からあらゆる災いが飛び出して四方に散った。ただひとつ〈希望〉だけは,急いで彼女がふたを閉じたため,壺の底に残ったという。以上は前8世紀の詩人ヘシオドスが伝えるパンドラ物語であるが,本来の彼女は大地女神で,その名も〈すべての贈物を与える女〉の意であったと考えられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンドラ」の意味・わかりやすい解説

パンドラ
ぱんどら
Pandora

ギリシア神話における地上最初の女。プロメテウスが天上の火を盗んで人間に与えたのを怒ったゼウスは、仕返しのため人間に災いをもたらせようと、ヘファイストスに命じて泥から人間の女をつくらせた。神々はこれにさまざまな性格や技量を与え、飾り物もつけて、プロメテウスの弟エピメテウスのところへ連れていかせた。パンドラとは、「神々からすべての贈り物を与えられた女」の意とも、「すべての神々からの人間への贈り物」の意とも解釈される。エピメテウスは、かねてより兄プロメテウスからゼウスの贈り物を受けないよう戒められていたにもかかわらず、美しいパンドラを見るとそれを忘れ、妻にしてしまう。こうしてゼウスは家の蓄えを片っ端から食い尽くす女という種族を人間界へ送り出し、人間どもに災いをまき散らすことができた。またパンドラは、神々から甕(かめ)(または手箱)をもらってきた。その中にはあらゆる災いや害悪が詰まっていたので、彼女は見てはいけないと忠告されていたが、好奇心から開けてしまい、それらはたちまち四方に飛び散った。このときから人類は、さまざまな病苦災難などの不幸にみまわれることになる。パンドラはあわてて蓋(ふた)をしたが、その中にはむなしい「希望」だけが残ったという。

[伊藤照夫]

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百科事典マイペディア 「パンドラ」の意味・わかりやすい解説

パンドラ

ギリシア神話で,ヘファイストスが粘土から造った人類最初の女。天上の火を盗んだプロメテウスに怒ったゼウスの命で人間に遣わされた。神々はあらゆる魅力を彼女に与えた(パンドラとは〈すべての贈物を与えられた女〉の意)。エピメテウスの妻となって地上に降りた彼女は禁断の壺(いわゆる〈パンドラの箱〉)を好奇心にかられて開き,中からあらゆる諸悪が飛び出したので蓋をしめたところ,〈希望〉だけが残ったという。古来,多くの作例が残る画題で,E.パノフスキーによる精細なイコノロジー的分析(《パンドラの箱》)も有名。
→関連項目ヘファイストス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンドラ」の意味・わかりやすい解説

パンドラ
Pandora

ギリシア神話の人物。天上の火を盗んで人類に与えたプロメテウスの罪を罰するため,ゼウスがヘファイストスに命じてつくらせた最初の女性。絶世の美女であるうえに,アフロディテアテナなどによって魅力と飾りでいやがうえにも美しく装われていたが,内部にはへルメスによって恥知らずの心と虚言と盗人の性質を入れられていた。プロメテウスの弟エピメテウスが,兄の戒めを忘れ,ゼウスから贈られた彼女を花嫁としてもらい受けてしまったために,以後人類は,すべての不幸の原因となる女たちとともに暮さなければならなくなったとも,パンドラが,中にすべての災いの詰っていたかめのふたを取り,世界中に災いをまき散らしたことが,人類の苦しみの原因であるともいわれる。パンドラがふたを閉めたとき,希望だけがかめの中に残ったという。

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デジタル大辞泉プラス 「パンドラ」の解説

パンドラ〔映画〕

1950年製作のイギリス映画。原題《Pandora and the Flying Dutchman》。監督:アルバート・リューイン、出演:ジェームズ・メイソン、エバ・ガードナー、マリウス・ゴーリングほか。

パンドラ〔キャラクター〕

円谷プロダクションによる特撮ドラマシリーズ「ウルトラシリーズ」に登場する怪獣。カンガルー怪獣。初登場作品は『ウルトラマンタロウ』。身長53メートル、体重2万8千トン。チンペの母。草食性でおとなしい。

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世界大百科事典(旧版)内のパンドラの言及

【ギリシア神話】より

…プロメテウスは火を盗み出し人間に与えた。それに気づいたゼウスは工匠神ヘファイストスに命じて粘土から乙女の姿を創らせ,神々皆が贈物をしたところからパンドラ(すべての贈物である女)と名づけた。彼女が下界に持参した甕のふたをあけると,病気,労苦その他の災禍が出て世に広まった。…

※「パンドラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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