ヒジャーズ(読み)ひじゃーず(英語表記)ijāz

デジタル大辞泉 「ヒジャーズ」の意味・読み・例文・類語

ヒジャーズ(Ḥijāz)

ヘジャズ

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百科事典マイペディア 「ヒジャーズ」の意味・わかりやすい解説

ヒジャーズ

サウジアラビア西部,北西アカバ湾,西は紅海に面する地方で,約40万km2,人口200万人と推定される。アラビア台地(地域内最高点2761m)と南西部のティハーマ海岸平野からなる。乾燥気候で住民はオアシスを中心に居住,デーツ栽培を中心とする定着農民と遊牧民に分けられる。主要都市は聖都メッカメディナジッダターイフ古来,西アジアとアフリカ,インドを結ぶ中継貿易が盛んで,預言者ムハンマドが輩出したクライシュ族が活躍するなどイスラムの発生と発展にとって重要な地方。1918年ハーシム家のヒジャーズ王国が成立するが,サウード家に敗れ,1927年ナジュドとともにサウジアラビア王国を形成。
→関連項目アラビア半島サウジアラビアフサイン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒジャーズ」の意味・わかりやすい解説

ヒジャーズ
ひじゃーず
ijāz

サウジアラビア西部の地方名。アカバ湾とアシール地方の間の細長い海岸地域をさす。ヒジャーズとはアラビア語で「障壁」の意。紅海に面したティハーマとよばれる平野部と、それに並行するヒジャーズ山脈からなる。ヒジャーズ山脈は、南部のアシール地方の山々に連なり、イエメン共和国まで1800キロメートルにわたって延び、海からの湿った風を遮る自然の障壁となっている。ヒジャーズ地方にはイスラム教の聖都メッカ、メディナと、それぞれの外港であるジッダ、ヤンブーがある。これらの都市が位置する海岸平野部の気候は乾燥酷熱で、年降水量は100ミリメートル前後であり、夏と冬の温度差が小さい。それに対しヒジャーズ山脈では気候がやや温暖で、オアシス農業が行われている。とくにヒジャーズ山脈南東部のターイフでは、夏でも気温が40℃を超えることがなく、サウジアラビアの避暑地となっている。

[片倉もとこ]

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世界大百科事典 第2版 「ヒジャーズ」の意味・わかりやすい解説

ヒジャーズ【al‐Ḥijāz】

サウジアラビアの北西部に位置する地域で,メッカ,メディナの二大聖地外交・港湾都市ジェッダ,〈夏の首都〉ともなるターイフなど重要な地域を含む。北はヨルダン,南はアシール州との間に境界をもつが,西のナジュド地域との区分は明確でない。ジェッダ北方のヤンボー港は,メディナへの巡礼客の出入口として栄えた。ヒジャーズ北方は,アラビア半島南部とアフリカ,インド方面と地中海方面の中間に位置するため,古来,中継貿易が行われ,この地を介してユダヤ教,キリスト教が伝えられた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヒジャーズ」の解説

ヒジャーズ
al-Ḥijāz

アラビア半島西岸の地域。現在はサウジアラビア領。イスラームの聖地であるメッカメディナを擁し,古くから巡礼の出入口として栄えた。また商工業都市としてジェッダ,ヤンブー,ターイフなどがある。

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