山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヒンドゥー法」の解説
ヒンドゥー法(ヒンドゥーほう)
Hindu Law
インドの固有法。マヌ法典やヤージュニャヴァルキヤ法典などのダルマシャーストラにみえる法規定に依拠する。7~8世紀から18世紀にかけて諸地方で多くつくられた注釈書や綱要書を通じて大いに発達し,同時に地方によってかなりの相違が現れるようになった。法学派もミタークシャラー学派とダーヤバーガ学派に分かれた。1772年,植民地支配を始めたイギリスによって,ヒンドゥー教徒の相続や合同家族などについて定める家族法として採用され,イギリス人裁判官のもとで判例法として,しだいに整えられ体系化していった。またダーヤバーガ学派の学説はベンガルに,ミタークシャラー学派の学説はその他の地域に適用されることになった。20世紀に入って,その改正が強く叫ばれ,独立後の1955~56年に,大規模に改正された四つの法律(婚姻法,相続法,未成年および後見法,養子および扶養法)が制定された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報