イタリアの冶金学者(やきんがくしゃ)。シエナに生まれる。同地を実質的に支配していたペトルッチ家の援助を受けてドイツに派遣され、広く技術を学んだ。ときどき市の内紛の巻き添えとなって追放の身となったりしたが、鋳砲や築城の学識と経験とを買われ、1529年以降、パルマ公、フェッラーラ公、ベネチア共和国に仕え、最後にローマ法皇の造兵廠(しょう)長官となった。
彼の死後、1540年にベネチアで彼の唯一の著書『火工術』Pirotechnia(全10巻)がイタリア語で刊行された。本書はアグリコラの『デ・レ・メタリカ』(1556)とともに当時の冶金術の体系的著作であり、1942年および1959年に全文が英語訳されて有名になった。『火工術』はとくに青銅砲の鋳造について詳しく述べており、命中率の高い大砲の製造が可能になって、中世の騎馬戦を中心とする形態とはまったく異なる戦争形態を生んだ。活字鋳造に関する最初の記述もある。
[山崎俊雄]
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