ピラン(読み)ぴらん(英語表記)pyran

デジタル大辞泉 「ピラン」の意味・読み・例文・類語

ピラン(Piran)

スロベニア南西部、アドリア海に面する港町。トリエステ湾とピラン湾に挟まれた細い半島に位置する。13世紀から18世紀にかけて、ベネチア共和国の支配下に置かれ、その当時の街並みが残されている。同国屈指の観光地の一。18世紀のバイオリン奏者ジュゼッペ=タルティーニ生地。イタリア語名ピラノ。

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改訂新版 世界大百科事典 「ピラン」の意味・わかりやすい解説

ピラン
pyrane

酸素原子1個と二重結合2個,メチレン基-CH2-1個でつくられた6員環の一般名。α-ピラン(2H-ピラン),γ-ピラン(4H-ピラン)の2種の構造異性体がある。

一群化合物の基体と考えられているが,これら自身はまだ単離されていない。メチレン基をカルボニル基C=Oで置換したピロン,ピランから水素原子1個がとれてオキソニウムイオンになったピリリウムpyryliumも重要な化合物群の基体となる。

ピリリウムは一種芳香族化合物安定である。天然色素アントシアニン類(アントシアン)はいずれも水酸基をもつベンゾピリリウム塩のグリコシドである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピラン」の意味・わかりやすい解説

ピラン
ぴらん
pyran

C5H6Oの分子式で表される酸素を環内にもつ6員環状複素環式化合物。α(アルファ)-ピランとγ(ガンマ)-ピランの2種類の異性体が可能であるが、どちらも常温では不安定で合成できない。母体の無置換ピランは不安定であるが、2-メチル-α-ピランC5H5O(CH3)などの置換されたピラン環をもつ誘導体は安定に存在する()。

[廣田 穰 2015年7月21日]


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化学辞典 第2版 「ピラン」の解説

ピラン
ピラン
pyran

C5H6O(82.10).2個の二重結合と1個のO原子を含む複素六員環式化合物.α-ピラン(2H-ピラン)とγ-ピラン(4H-ピラン)の2種類が考えられるが,ピラン環そのものは安定ではない.前者はまだ得られていないが,プロパルギルアルデヒド3分子が縮合した2-エチニル-4,6-ホルミル体が知られている.後者は,2-アセトキシ-2,3-ジヒドロピランの熱分解や2,6-ジクロロテトラヒドロピランの脱塩化水素で得られる.無色の液体.沸点80 ℃.1.4559.空気中では室温ですみやかに分解する.

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