フィコシアニン(読み)ふぃこしあにん(英語表記)phycocyanin

デジタル大辞泉 「フィコシアニン」の意味・読み・例文・類語

フィコシアニン(phycocyanin)

藍藻類・紅藻類に含まれる青色色素たんぱく質。光合成に必要な光を吸収し、クロロフィル葉緑素)に伝える。藍藻素

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世界大百科事典 第2版 「フィコシアニン」の意味・わかりやすい解説

フィコシアニン【phycocyanin】

藻類に含まれる青色の色素タンパク質金属を含まず,色素部分は胆汁色素と同じく開環テトラピロール構造をもつ化合物フィコシアノビリンphycocyanobilinと呼ばれ,ペプチド結合タンパク質に結合している。藻類の光合成系において光のエネルギーを吸収し,クロロフィルaに伝達する働きをしている。分子量は約4万5000であるが,フィコビリゾームphycobilisomeと呼ばれる高度の会合体を形成し,それがチラコイド(扁平な袋状の構造)膜表面に規則的に配列している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィコシアニン」の意味・わかりやすい解説

フィコシアニン
ふぃこしあにん
phycocyanin

藍藻(らんそう)類、紅藻類などに含まれる青色の色素タンパク質。藍藻素ともいう。色素部分のフィコシアノビリンは、ポルフィリン環の開いたテトラピロール構造をもっている。細胞内では、ラメラ構造の上に存在するフィコビリゾームとよばれる顆粒(かりゅう)中にあって、光合成の補助色素として光のエネルギーを捕捉(ほそく)し、クロロフィルに受け渡す役割を果たしている。

吉田精一

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィコシアニン」の意味・わかりやすい解説

フィコシアニン
phycocyanin

藻藍素,フィコシアンともいう。紅藻および藍藻一般に存在するフィコビリン系の色素蛋白質一種。色素の一部は青色で,フィコシアノビリンといわれる。水溶液で赤色のケイ光を出す。葉緑体中にクロロフィル蛋白質やカロテノイドとともに存在する。藍藻などから水溶液として得られる。光合成の際には重要な補助色素として役立っている。

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栄養・生化学辞典 「フィコシアニン」の解説

フィコシアニン

 紅藻類,藍藻類にある青色の色素タンパク質.フィコピリン系の水溶性色素が本体.

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