… 《パラティナ詞華集》はビザンティン時代ににわかに成立したものではなく,実は前1世紀以来,数次にわたるエレゲイア詩集編纂の成果を踏まえていることが,内容分析から明らかとなっている。前70年ころのメレアグロスMeleagros編の《冠》,前40年ころのフィリッポスPhilipposが〈ヘリコンの花を摘み編んだ〉という,やはり同名の《冠》詩集,後6世紀中葉アガティアスAgathiasがコンスタンティノープルで集成した《環》と題するエピグラム集,そしてさらに9世紀コンスタンティノス・ケファラスKōnstantinos Kephalasによって再編集された大詞華集が生まれ,これが《パラティナ詞華集》の祖本となったのである。詞華集に収められた古典期,ヘレニズム期の大詩人たちのエピグラムは,ルネサンス期以降の西欧の詩人たちの範と仰がれ,甚大な影響を及ぼしている。…
※「フィリッポス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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