フェニル酢酸(読み)フェニルサクサン

化学辞典 第2版 「フェニル酢酸」の解説

フェニル酢酸
フェニルサクサン
phenylacetic acid

benzeneacetic acid.C8H8O2(136.15).C6H5CH2COOH.α-トルイル酸ともいう.はっか油,ばら油,ネロリ油などの植物精油中に,遊離またはエステルの形で存在する.合成では,塩化ベンジルをシアン化ベンジルにかえ,加水分解によってつくられる.結晶.融点76 ℃,沸点265 ℃,144 ℃(1.6 kPa).1.091.エタノール,エーテルあるいは熱水可溶.おもにエステルの形でせっけん香料として用いる.覚せい剤合成原料にも使われる.LD50 > 5000 mg/kg(ウサギ,経皮).[CAS 103-82-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典 第2版 「フェニル酢酸」の意味・わかりやすい解説

フェニルさくさん【フェニル酢酸 phenylacetic acid】

α‐トルイル酸ともいう。酢酸メチル基の水素原子一つをフェニル基C6H5-で置換した構造をもつ化合物。ハッカ油やバラ油,ネロリ油などに遊離酸またはエステルとして存在する。融点78℃,沸点227℃の特異な臭いをもつ白色鱗片状結晶。冷水,石油エーテルに難溶,熱水,アルコール,エーテル等の有機溶媒に可溶。水溶液は弱酸性を示し,酸解離指数pK=4.312(25℃)。種々の金属と塩をつくる。通常のカルボン酸と同じく,エステル,酸アミド,酸塩化物,酸無水物をつくり,有機合成に用いられている。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「フェニル酢酸」の解説

フェニル酢酸

 C8H8O2 (mw136.15).

 フェニルアラニンの異常代謝産物の一つ.フェニルケトン尿の患者の尿中に排泄される.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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