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中央アジア東部のウズベキスタン,タジキスタン,キルギスの各共和国にまたがる地域名。パミール山塊北端と天山山脈西端の山脈に囲まれたシル・ダリヤ中流域のフェルガナ盆地を中心とする。この盆地は周辺の山々から流れ下る多くの河川によって潤され,紀元前数百年紀から牧畜を伴う農耕文明が成立していた。大宛国を代表とするアーリヤ系の住民によるいくつかの地方政権の後,7世紀からはトルコ系遊牧民の支配の下で住民のトルコ化が進んだ。8世紀にはイスラムも伝わり,16世紀のウズベク族の定着によって現在の住民構成がほぼ完成した。中世のフェルガナ盆地では東部のアンディジャーンAndijānなどのいくつかの都市が東西交易によって繁栄していた。18世紀初めには盆地西部のホーカンドを首都とするホーカンド・ハーン国が成立したが,やがて南下してきたロシアに占領された。現在では盆地の南部に新しく建設されたウズベキスタン共和国のフェルガナ市が地域の行政的中心で,綿花,絹織物の生産のほか,ウラニウムをはじめとする各種の鉱工業も盛んである。
執筆者:堀 直
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大宛(だいえん)シル川の上流,東西300km,南北150kmの盆地。古くから東西世界を結ぶ陸路の要衝にあたり,漢代には大宛の名で知られ,ブドウ酒,名馬の産地として有名であった。住民はイラン系であったが,西突厥(にしとっけつ),カラハン朝に支配され,トルコ化,イスラーム化した。1876年ロシアに併合されて州となり,現在はウズベキスタン共和国,クルグズ共和国,タジキスタン共和国に分属。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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