フェルガナ

デジタル大辞泉 「フェルガナ」の意味・読み・例文・類語

フェルガナ(Ferghana)

中央アジアウズベキスタンタジキスタンキルギスにまたがる地域。また、その中心都市名(ウズベキスタン)。パミール北西部、シルダリア川の中・上流域で中央盆地が広がる。綿花・ブドウを栽培。大宛だいえん。ファルガーナ。

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百科事典マイペディア 「フェルガナ」の意味・わかりやすい解説

フェルガナ

中央アジア東部の地方。中国名は大宛。約2万2000km2で,大部分ウズベキスタン共和国に属するが,タジキスタン,キルギスタンにまたがり,これら地域の諸民族が複雑に入りまじって住む。パミール高原北端と天山山脈西端の山脈に囲まれたシル・ダリヤ中流域の盆地(フェルガナ盆地)を中心としたオアシス地帯で,灌漑(かんがい)により綿花,ブドウなどを産する。古くから東西交通の要地。前2世紀の張騫(ちょうけん)の旅行によって,汗血馬の産地として知られた。初め大宛国を代表とするアーリヤ系の民族が住んでいたが,7世紀以後トルコ系の遊牧民族が侵入し,次第にイスラム化し,16世紀ウズベク人の定住によって,ほぼ現在の住民構成ができあがった。1876年にロシア領になったが,この地域はしばしば反乱の舞台となり,19世紀のアンディジャンにおける蜂起,1916年の中央アジア大反乱,ロシア革命期のコーカンドにおけるトルキスタン自治政府の設立,反ソビエトのバスマチ運動などが継起している。ペレストロイカ期にはいくつかの民族衝突事件が起きた。
→関連項目大宛

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改訂新版 世界大百科事典 「フェルガナ」の意味・わかりやすい解説

フェルガナ
Ferghana

中央アジア東部のウズベキスタン,タジキスタン,キルギスの各共和国にまたがる地域名。パミール山塊北端と天山山脈西端の山脈に囲まれたシル・ダリヤ中流域のフェルガナ盆地を中心とする。この盆地は周辺の山々から流れ下る多くの河川によって潤され,紀元前数百年紀から牧畜を伴う農耕文明が成立していた。大宛国を代表とするアーリヤ系の住民によるいくつかの地方政権の後,7世紀からはトルコ系遊牧民の支配の下で住民のトルコ化が進んだ。8世紀にはイスラムも伝わり,16世紀のウズベク族の定着によって現在の住民構成がほぼ完成した。中世のフェルガナ盆地では東部のアンディジャーンAndijānなどのいくつかの都市が東西交易によって繁栄していた。18世紀初めには盆地西部のホーカンドを首都とするホーカンド・ハーン国が成立したが,やがて南下してきたロシアに占領された。現在では盆地の南部に新しく建設されたウズベキスタン共和国のフェルガナ市が地域の行政的中心で,綿花,絹織物の生産のほか,ウラニウムをはじめとする各種の鉱工業も盛んである。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「フェルガナ」の解説

フェルガナ
Ferghana

大宛(だいえん)シル川の上流,東西300km,南北150kmの盆地。古くから東西世界を結ぶ陸路要衝にあたり,漢代には大宛の名で知られ,ブドウ酒名馬の産地として有名であった。住民はイラン系であったが,西突厥(にしとっけつ)カラハン朝に支配され,トルコ化,イスラーム化した。1876年ロシアに併合されて州となり,現在はウズベキスタン共和国クルグズ共和国タジキスタン共和国に分属。

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旺文社世界史事典 三訂版 「フェルガナ」の解説

フェルガナ

大宛 (だいえん)

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