フェルマー(英語表記)Pierre de Fermat

改訂新版 世界大百科事典 「フェルマー」の意味・わかりやすい解説

フェルマー
Pierre de Fermat
生没年:1601-66

フランスの数学者。トゥールーズに近いボーモン・ド・ロマーニュの富裕な商家に生まれ,ボルドー法学を修めてトゥールーズの裁判所顧問となり,一生をその地方に過ごした。余暇に数学を研究し,得られた結果を知人への手紙手記に書き残した。F.ビエトの代数学に通じ,R.デカルトのように著書で公表はしなかったけれども解析幾何学の方法を得ていた。微積分学についての先駆的創見もあり,確率論の端緒となった問題に関するB.パスカルとの文通もある。古典語にも詳しく,ディオファントスの《数論》に多くの注を加えた。その欄外に〈n≧3のときxnynznの整数解はないことの驚くべき証明を得た〉という意味のことを記したのはことに有名である(フェルマーの大定理)。数論についてはそのほかにも多くの著しい発見がある。幾何光学上のフェルマーの原理も知られている。彼の業績は長男サミュエルSamuelがまとめ,19世紀末になってP.タンヌリらが整理公刊した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「フェルマー」の意味・わかりやすい解説

フェルマー

フランスの数学者。1631年トゥールーズ地方議会の議員となり,余暇に数学を研究。成果はデカルトメルセンヌへの手紙などに記しただけで公表せず,他の手記は1679年子が公刊。ディオファントスの数論の訳書に刺激されて数論を研究,余白にフェルマーの定理の書込みがあり,近代整数論の端緒を開いた。円錐曲線の研究から解析幾何学を考案,微積分の先駆的研究もある。光線通路に関するフェルマーの原理も有名。
→関連項目解析幾何学

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のフェルマーの言及

【解析幾何学】より

…この際,数や代数学は用いられず,もっぱら図形が使用される。他の方法はP.deフェルマーやR.デカルトによって案出された方法で,平面や空間に座標を導入して,図形を数の間の関係によって表し,また逆に数の間の関係を図形で表現して,図形の問題を数の問題に翻訳し,代数の計算によって幾何の問題を処理するというものである。前者を総合幾何学または純粋幾何学というのに対し,後者を解析幾何学という。…

【数学】より

…代数計算によって,数学理論を構成するのは,そこから始まったのである。P.deフェルマーは,代数的方法を駆使して,ディオファントスの数論を発展させ,また曲線の接線を求めることや,最大最小の問題を扱い,光学にも応用した。またB.パスカルとの往復書簡では確率論の先駆となった問題を論じた。…

【整数論】より

…このとき,pと互いに素な整数aに対して, ap-1≡1 (mod p)が成り立つ。これはフェルマーの定理と呼ばれている。p-1より小さい正の整数kに対しては,akと1がpを法として合同にならないとき,apを法としての原始根,またはpの原始根という。…

【魔方陣】より

…立体方陣も平面の場合と同様に,対称,相結などが考えられる。立体四方陣はP.deフェルマーが最初に作ったが,4本の立体対角線の成立するものは久留島義太が初めて作った。
【歴史】
 中近東でもっとも古い方陣を集めたものに,989年ころのイスラムの百科事典がある。…

※「フェルマー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android