フラックス(英語表記)flux

翻訳|flux

改訂新版 世界大百科事典 「フラックス」の意味・わかりやすい解説

フラックス
flux

溶剤融剤,または媒溶剤とも呼ばれる。おもに,酸化物,塩化物,フッ化物からなる物質で,鉱石を製錬する際に用いられる。冶金学上の用語で,明確な定義はない。フラックスは鉱石の溶解を促進し,鉱石に含有される不純物の脈石成分と化合してスラグとなる。鉄鉱石の製錬では石灰石がフラックスであり,得られる銑鉄の成分に影響を及ぼす。金属の溶解のときに使用されるフラックスは,溶解の際の酸化防止,溶融金属表面のスラグの諸性質変更,非金属介在物の除去,脱ガスなどが目的である。金属の連続鋳造で使用されるものは,非金属介在物の除去,酸化防止,そのほか熱伝達に関係して鋳塊の表面状態に大きい影響を及ぼす。はんだ付け,鑞付け,溶接,溶融めっきに使用されるものは,接合される金属の接着面の酸化物を除去し,金属のぬれ性を改善して接合を完全にすることに寄与する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「フラックス」の意味・わかりやすい解説

フラックス

溶剤,融剤とも。冶金学上の言葉で,金属製錬の際,鉱石の溶融促進やスラグの性状調節のため,鉱石に添えて炉に装入するもの。製鉄の石灰石,アルミニウム製錬の氷晶石など。また溶接やはんだ付けなどで,接合面の酸化防止のため添加する塩化物,ホウ砂樹脂などもフラックスという。
→関連項目乾式製錬スラグはんだ付け溶剤

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「フラックス」の解説

フラックス

米国の作家スティーヴン・バクスターの長編SF(1993)。原題《Flux》。「ジーリー」シリーズ第3作。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

化学辞典 第2版 「フラックス」の解説

フラックス
フラックス
flux

[同義異語]融剤

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフラックスの言及

【接地層】より

…接地境界層,等流束層ともいう。この層中では運動量,熱,水蒸気の鉛直方向の流束(フラックスflux)が,地表面での値とほとんど等しいとみなされている。この意味で,地表における値と変わらない一定の流束をもつ気層つまり流束一定の気層と呼ばれることもある。…

【接地層】より

…接地境界層,等流束層ともいう。この層中では運動量,熱,水蒸気の鉛直方向の流束(フラックスflux)が,地表面での値とほとんど等しいとみなされている。この意味で,地表における値と変わらない一定の流束をもつ気層つまり流束一定の気層と呼ばれることもある。…

【スラグ】より

…溶融金属製錬における原料中の不純物成分と,目的金属等からのその不純物成分の分離を助けるために加えたフラックス(媒溶剤成分)とからなる液相の総称。のろ,滓(さい)とも呼ばれる。…

【製鉄・製鋼】より

…ケイ酸分が低く,Mn含有量が40%以上のものが望ましい。
[溶剤]
 フラックスともいう。鉄鉱石には脈石が含まれており,またコークスには灰分(SiO2,Al2O3が主体)が12%程度ある。…

※「フラックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ゲリラ豪雨

突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...

ゲリラ豪雨の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android