フラボノイド

デジタル大辞泉 「フラボノイド」の意味・読み・例文・類語

フラボノイド(flavonoid)

植物に広く含まれる低分子有機化合物柑橘かんきつ類の皮などから抽出され、血圧降下作用をもつ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「フラボノイド」の解説

フラボノイド
フラボノイド
flavonoid

広く植物界に分布し,二つのフェニル基が3個のC原子を介して結合した,C6-C3-C6炭素骨格をもつ化合物の総称.普通A環の5,7位,B環の3′,4′位にヒドロキシ基またはメトキシ基が結合しており,ほとんどが図示した骨格の3位のO-グリコシド誘導体で,現在までに4000種類以上が知られている.その骨格はカルコンフラバノン,フラバン-3-オール,フラボンフラボノールイソフラボンオーロンアントシアニジン,ジヒドロカルコンなどに分類される.このうち,色をもつものはカルコン,フラボン,フラボノール,アントシアニジンである.A環はマロニルCoA,中央の三つの炭素と,B環はフェニルアラニン由来のケイ皮酸CoAの縮合物とから生合成される.生合成に関与する酵素類については詳細な研究が行われている.フラボノイドには,種子発芽や成長に関与したり,ファイトアレキシン作用を示すものもあるが,生理的役割のわかっていないものも多い.フラボノイドはラジカルスカベンジャーとしての作用が強く,とくにヒドロキシラジカルとの反応性は高い.その反応性はアグリコンの構造に依存し,糖の効果はない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「フラボノイド」の意味・わかりやすい解説

フラボノイド
flavonoid

フラボンを基本構造にもつ黄色色素の一群の総称。天然には,各種の植物の花,葉,根,茎,果実などに含まれている。なおフラボンの名称ラテン語のflavus(黄色)に由来する。植物の表皮細胞にあって紫外線をさえぎる役割を果たしているといわれる。これらは多くの場合水溶性配糖体として存在しており,アグリコン(非糖成分)はフラボン,イソフラボン,フラボノール,フラボノン,ケルセチンなどである。

構造上重要な植物色素アントシアニン類によく似ていて,フラボノイドのあるものは古くから染料として用いられてきた。(表参照)
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「フラボノイド」の解説

フラボノイド【flavonoid】

ポリフェノール一種。植物に広く分布する色素成分。緑茶、ぶどう、食用菊、そば、たまねぎ大豆レモンなどに多く含まれる。種類は4000以上あり、たまねぎ・ブロッコリーなどの「フラボノール類」、大豆などの「イソフラボン類」、緑茶などの茶葉に含まれる「カテキン類」に大別される。少量でも発がん物質の活性化を阻害するほどの抗酸化作用を発揮するほか、活性酸素の働きを抑制、血液循環の改善、動脈硬化予防、血圧の正常化維持などに効果が期待できる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

百科事典マイペディア 「フラボノイド」の意味・わかりやすい解説

フラボノイド

植物界に広く分布する色素化合物(環状有機化合物)の総称。カルコン,フラバノン,フラボン,フラボノール,フラバノノール,フラバノール,イソフラボン,および一部のアントシアン類などを含む。いずれもフラボン核をもつフェノール性物質。赤,紫,青などを示すアントシアン類を除くと,多くは無色,黄色,だいだい色。種類が多く,花弁,果実,葉,樹皮,種子,材などに含まれる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典 「フラボノイド」の解説

フラボノイド

 2-フェニルベンゾ-γ-ピロンを基本骨格とする植物色素の配糖体の総称.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフラボノイドの言及

【カルコン】より

…たとえばブテイン(ダリアの黄色品種やキバナコスモスなどの花に配糖体として含まれる黄色色素)やカルタミン(ベニバナの花冠に含まれる紅色色素,日本では食紅としても用いられる)などの植物色素がある。その閉環異性体がフラバノンflavanoneで,フラボン,アントシアニンなどとともに,これら黄色色素化合物の総称としてフラボノイドflavonoidと呼ばれ,アセチルCoAを出発物質にして生ずるポリケチドpolyketideの一種である。ポリケチドとは,一般式R(CH2CO)nCO2Hで示されるβ‐ポリケト酸を経て生合成される物質の総称である。…

【カンゾウ(甘草)】より

…甘みはサポニン,グリチルリチンglycyrrhizin(ショ糖の150倍の甘みがある)やブドウ糖を含有していることによる。そのほかにフラボノイドflavonoidも含み,鎮咳(ちんがい),鎮痛や利尿作用がある。そのため風邪や咽喉の病気,さらに胃腸薬として用いられている。…

【色素】より

…カロチンは動物体内でビタミンAとなり,視紅と呼ばれる色素タンパク質を形成し,視覚に重要な役割を担っている。(2)フラボノイドflavonoid C6-C3-C6の炭素骨格をもち,植物のほとんど全組織にひじょうに広く分布している黄色の色素。フラボン類,フラバノン類,アントクロール,アントシアン,カテキンなどがある。…

【カルコン】より

…たとえばブテイン(ダリアの黄色品種やキバナコスモスなどの花に配糖体として含まれる黄色色素)やカルタミン(ベニバナの花冠に含まれる紅色色素,日本では食紅としても用いられる)などの植物色素がある。その閉環異性体がフラバノンflavanoneで,フラボン,アントシアニンなどとともに,これら黄色色素化合物の総称としてフラボノイドflavonoidと呼ばれ,アセチルCoAを出発物質にして生ずるポリケチドpolyketideの一種である。ポリケチドとは,一般式R(CH2CO)nCO2Hで示されるβ‐ポリケト酸を経て生合成される物質の総称である。…

【カンゾウ(甘草)】より

…甘みはサポニン,グリチルリチンglycyrrhizin(ショ糖の150倍の甘みがある)やブドウ糖を含有していることによる。そのほかにフラボノイドflavonoidも含み,鎮咳(ちんがい),鎮痛や利尿作用がある。そのため風邪や咽喉の病気,さらに胃腸薬として用いられている。…

【色素】より

…カロチンは動物体内でビタミンAとなり,視紅と呼ばれる色素タンパク質を形成し,視覚に重要な役割を担っている。(2)フラボノイドflavonoid C6-C3-C6の炭素骨格をもち,植物のほとんど全組織にひじょうに広く分布している黄色の色素。フラボン類,フラバノン類,アントクロール,アントシアン,カテキンなどがある。…

【センブリ(千振)】より

…湯の中で1000回振り出してもまだ苦いのでセンブリ(千振)の和名がある。苦味配糖体スウェルチアマリンswertiamarin,フラボノイドを含み,苦味健胃薬として消化不良,食欲不振などの家庭薬の原料として用いる。センブリのアルコール抽出物は脱毛症に効果がある。…

※「フラボノイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android