精選版 日本国語大辞典 「ブタジエン」の意味・読み・例文・類語
ブタジエン
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
C4H6(54.09).CH2=CH-CH=CH2.二重結合の位置により,1,3-ブタジエンと1,2-ブタジエンの2種類の異性体が存在するが,工業的には前者のほうがはるかに重要なので,単にブタジエンという場合は,1,3-ブタジエンをさす.石油系炭化水素の分解ガス中に存在する.従来,n-ブタンおよびn-ブテン類の脱水素により製造されており,アメリカでは現在でも行われているが,わが国ではナフサ分解によるエテンの生産が大規模に行われ,そこで副生するB-B留分より抽出蒸留で分離精製する方法に完全に転換されている.構造は,共役二重結合を有するもっとも簡単なオレフィンである.原子間距離C=C 0.137 nm,C-C 0.147 nm と二重結合間隔はエテンの場合より長く,C-Cはブタンの場合より短い.このことはブタジエンの共鳴状態に対する一つの論拠となっている.また,C-C結合における分子内回転より,シス形構造とトランス形構造が考えられ,後者のほうが約17 kJ mol-1 安定である.弱い芳香性を有する引火性の液化しやすい無色の気体.融点-108.92 ℃,沸点-4.41 ℃.爆発範囲2.0~11.5体積%.エタノール,エーテルに可溶,水に不溶.共役した二重結合をもつために化学反応性は高く,とくに重合活性が高いため,貯蔵には重合防止剤および酸化防止剤の添加が必要である.石油化学の重要な原料の一つである.おもにスチレン-ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴムなどの合成ゴム,ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂)などの樹脂の原料となる.ほかにクロロプレン,アジポニトリル,1,4-ブタンジオールなどの合成原料としても用いられる.[CAS 106-99-0]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
ジエン(炭素間二重結合を2個もつ化合物の総称)のもっとも簡単なもの。炭素4個からなる直鎖でしかも2個の不飽和結合を含む炭化水素。不飽和結合のある位置により1,2-ブタジエンと1,3-ブタジエンの2種の異性体がある。前者はメチルアレンともよばれ、通常、ブタジエンというと後者をさす。ゴムはイソプレン(2-メチルブタジエン)が重合した構造をもつので、1920年代末にドイツでブタジエンを原料として合成ゴムのブナ(BUNA)が発明された。これを契機としてブタジエンの製造技術の開発が進んだ。さらに太平洋戦争初期に日本が東南アジアを占領してアメリカへの天然ゴムの供給を断ったことが、アメリカにおける合成ゴムの開発を促進したといわれる。現在では、ブタジエンは石油から製造されている。ナフサの分解でエチレンを製造する際に生ずる炭素数4個の留分から得るか、あるいはブタンまたはブテンの脱水素により製造する。可燃性で、常温では無色有毒の麻酔性のある気体であるが、圧力を加えると容易に液化する。
日本では年間約100万トン生産されているが、おもに合成ゴムの原料として利用される。これとスチレンとの共重合体はスチレン・ブタジエンゴム(SBR)で汎用(はんよう)合成ゴムとして、またアクリロニトリルとの共重合体(NBR)は耐油性の合成ゴムとして、アクリロニトリルおよびスチレンの双方との共重合体(ABS)は耐衝撃性の合成樹脂として利用される。また、ブタジエンの重合体のポリブタジエン(PBR)も汎用の合成ゴムとして用いられる。
[徳丸克己]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
送り状。船荷証券,海上保険証券などとともに重要な船積み書類の一つで,売買契約の条件を履行したことを売主が買主に証明した書類。取引貨物の明細書ならびに計算書で,手形金額,保険価額算定の基礎となり,輸入貨...
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新