改訂新版 世界大百科事典 「ブッドレア」の意味・わかりやすい解説
ブッドレア
butterfly bush
Buddleia
日本でブッドレアとして観賞用に栽培されているものは,フジウツギ科のニシキフジウツギ(一名フサフジウツギ)Buddleia davidii Fr.(英名orange-eye butterfly bush)で,花が美しく,香りがあり,寒さにも強い。高さ1~2mで,よく分枝し,葉は長い楕円形,長さ7~20cm,裏は灰白色。花序は長さ10~30cmで,多数の花からなり,花冠筒部は細く,長さ1cm,裂片は開出し,直径5~6mm。花期は7~10月,花色は白,紅,紫,淡紅色など多くの園芸品種がある。切花ともされ,中国西部原産であるが,荒地に野生化している。排水のよい向陽地を好む。繁殖は種子によるが,挿木でもできる。フジウツギ属Buddleiaはおもに熱帯に分布し,約100種ある。花にチョウが好んでくるため,英語でbutterflybushと呼ぶ。日本にはフジウツギB.japonica Hemsl.とウラジロフジウツギB.curviflora Hook.et Arn.f.venefera(Makino)Yamazakiが自生し,後者は魚毒として使う。琉球で古くから栽培されるトウフジウツギB.lindleyana Fort.は中国原産である。この属にはリウマチなどの薬としたり,花を衣類の染料,葉をバターの着色,材を農具などとする種がある。
執筆者:福岡 誠行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報