ブランメル
George Bryan Brummell
生没年:1778-1840
イギリスの宮廷人。フランスの作家バルベー・ドールビイによれば,〈史上最高のダンディ〉。ジョージ4世の寵臣で,後に不興をこうむったが,その威光は終生国王をしのいだと伝えられる。冷静な計算をもって男子服装の美学を確立し,それに基づいて,ダーク・カラーを基調とする体の線にフィットした,今日の三つぞろい紳士服の原型を生み出した。〈伊達者(ザ・ボー)ブランメル〉との異名をたてまつられたこの〈趣味の審判官〉は,19世紀初頭のイギリス社交界に君臨し,その盛名は海峡の彼方まで広まり,フランスでもスタンダール,バルザック,メリメ,バルベー・ドールビイ,ボードレールなど,ロマン派文学者のあいだに多くの賛美者,模倣者を生み出し,ヨーロッパの文芸思潮に絶大な影響を及ぼした。1816年,負債のためフランスのカレーに隠棲,30年カンに移り同地で貧窮のうちに没。
執筆者:生田 耕作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ブランメル
Brummell, George Bryan
[生]1778.6.7. ロンドン
[没]1840.3.30. カーン
19世紀初頭のメンズ・モードに多大の影響を及ぼしたイギリスの代表的ダンディ。ボー beau (美男子) ・ブランメルと呼ばれた。イートン校時代から皇太子 (のちのジョージ4世) と級友で,イギリスの上流社会に君臨したが,晩年は貧困のうちに没した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のブランメルの言及
【ダンディズム】より
…本来,フランス王朝風俗に影響された華美・柔弱な18世紀男子服に対する反動として,イギリスのジェントリー層([ジェントルマン])に生まれた,ダーク・カラーを基調とする狩猟着にお洒落(しやれ)の真髄を見いだそうとする趣味に端を発している。ダンディズムを芝居がかったかたちで実践し,さらに一つの理念にまで発展させ,それによってイギリス社交界に〈手本〉として君臨したのみならず,全ヨーロッパにまでも盛名をはせたのは,〈伊達者(ザ・ボー)〉[G.ブランメル]である。彼が出現するに及んで,イギリス貴族階級の間に,バイロン卿をはじめとする,ブランメルの崇拝者,模倣者が輩出し,この風潮は海外に波及し,19世紀ヨーロッパの美意識全般に大きな影響を及ぼした。…
※「ブランメル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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