精選版 日本国語大辞典 「ブルターニュ」の意味・読み・例文・類語
ブルターニュ
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フランス北西部の歴史的地方名、旧州名。現在もコート・ダルモール、フィニステール、イル・エ・ビレーヌ、モルビアンの4県を含む範囲の行政地域の名称として用いられる。その面積は2万7208平方キロメートル、人口290万6197(1999)。中心都市はレンヌ。旧州名の場合にはロアール・アトランティク県をも包含する。英語名ブリタニーBrittany。地質的にはアルモリカン山系からなり、緩やかな起伏が広がる丘陵地である。当地方の骨格はブルターニュ半島からなり、大西洋に突出し、東西に細長く、長さ280キロメートル、幅180キロメートルに及ぶ。海洋に囲まれるため、湿潤温暖な気候である。農業生産が卓越し、小麦栽培を主体としてきたが、牧畜(ウシ、ブタ、ニワトリ)に比重が移行するにしたがい、飼料用の穀物(大麦、トウモロコシ)栽培も増加している。漁業は大きな発展はないが、ブルターニュ半島先端部から南岸にかけていまだ活発であり、缶詰工業も盛ん。地下資源、エネルギー源がないことと、首都から遠いために工業発展が遅れ、過疎化が進んだ。近年、道路網を整備し、工業立地を促進して、農業を近代化することによって低開発地域からの脱皮を図ろうとしている。半島西端の都市ブレストは、地中海岸のトゥーロンと並ぶフランス最大級の軍港都市である。
[高橋伸夫]
地名は、アングロ・サクソンの圧迫でこの地に移住したケルト系ブリトン人の居住地ブリタニアにちなむ。したがって住民はフランス人とは民族的に異なり、独自の言語・民俗を有し、歴史的にも特異な発展を遂げた。フランス革命によってフランスに完全に統合されたのちも独立運動が絶えない。
5世紀末フランク王クロービスに征服されたが反抗を続け、845年西フランクのシャルル(カール)2世から独立的地位を獲得した。さらにノルマン人の侵入を退けたのち、938年ブルターニュ公国を形成した。公国はいくつかの伯領に分かれ、貴族の下に自由民、不可譲渡小作人、少数の農奴が存在したが、しだいにフランス風封建化への道をたどった。1213年公女アリクスがカペー王朝ルイ6世の曽孫(そうそん)と結婚して以来、公位はブリトン系からフランス系に移った。その後、百年戦争に巻き込まれる形で戦われたブルターニュ継承戦争を経て、15世紀前半のジャン5世の時代は平和が続き、ラシャ織、カンバスなどの織物業や製塩が富をもたらし、ハンザ同盟諸都市やオランダ、イギリス、スペインなどとの交易が盛んとなり、芸術面でもブルトン・ゴシック様式の黄金時代を現出した。しかし15世紀後半に至り、公国併合を策するフランスとの抗争に敗れ、最後の公フランソア2世の娘アンヌがフランス王シャルル8世と結婚(1488)して以来、公国はフランスと同君連合を形成し、フランソア1世による王国編入に至った(1532)。アンヌの時代がブルターニュとしての最盛期といわれるが、王国編入後もブルターニュはある程度の自治を認められ、地方における王権の象徴たるアンタンダン(地方総監)の設置をブルターニュが受け入れたのは1688年のことであった。
フランス革命前年の1788年、王権は新税創設に伴い高等法院から建議権を取り上げたが、「ブルターニュの自由」を主張するレンヌ市民はこれに暴動でこたえ、この勅令を撤回させた。1789年ブルトン・クラブに拠(よ)ったブルターニュ議員は8月4日の封建特権買い戻し決議を出し、またブルターニュの自由を宣言するなど革命初期に活発な動きをみせたが、後期には国民公会の宗教政策に反発して激しい反革命暴動を繰り返した。
[石原 司]
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フランスのブルターニュ半島を中心とする地方名。主都市レンヌ。この地域は,民族大移動期のガリア・ケルト系,ローマ系住民の最後の拠点であり(地名はケルト系ブリトン人に由来する),今日も民族的に特異である。公の名は8~9世紀からみられるが,独立性が強く,1532年まで王領に併合されなかった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…ケルト語派のうちのブリタニック諸語の一つ。5~6世紀にかけてブリテン島南西部から対岸のブリタニー(ブルターニュ)に渡ったケルト人がもたらしたもので,現在も同地で行われるが,話者の大部分はフランス語との二重言語使用者である。コーンウォール語に近く,古期ブルトン語(900‐1100)の頃すでに語頭の鼻音変化の機能を失った。…
※「ブルターニュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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