ブレーントラスト(その他表記)Brain Trust

デジタル大辞泉 「ブレーントラスト」の意味・読み・例文・類語

ブレーン‐トラスト(brain trust)

米国ルーズベルト大統領ニューディール政策を行った際、その政策立案遂行にあたった顧問団の通称。転じて、政府や企業体の諮問機関や、政治家などの相談役をつとめる専門家などのグループ。知能顧問。

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精選版 日本国語大辞典 「ブレーントラスト」の意味・読み・例文・類語

ブレーン‐トラスト

  1. 〘 名詞 〙 ( [アメリカ] brain trust ) 政治家や政府が、政策の立案・検討などのために相談役とする、学識経験者集団。ルーズベルト大統領がニューディール政策を行なった際の顧問団がこう呼ばれたところから。また、個人や団体助言を与えて補佐する役の人。ブレーン
    1. [初出の実例]「警視庁きっての俊才、検察ブレーン・トラストの第一人者」(出典:魔都(1937‐38)〈久生十蘭〉二二)

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改訂新版 世界大百科事典 「ブレーントラスト」の意味・わかりやすい解説

ブレーン・トラスト
Brain Trust

1932年のアメリカ大統領選挙において,民主党候補F.D.ローズベルトコロンビア大学教授のモーリーRaymond Moley,タグウェルRexford G.Tugwellなどの学者を政策面でのアドバイザーとして用いたことを,当時の新聞が評して使用した表現。ローズベルトの大統領就任後も,このブレーン・トラストはニューディール政策の立案・実施を援助した。その後〈私的な幕僚群〉を指す言葉として一般的に使用されるようになった。元来,大統領は一身に元首行政首長,三軍の最高司令官の職を帯び,多能多才でなければならないが,ことに1930年代から内に外に国家機能が著しく拡大し,大統領は多忙を極め,多くの分身を必要とするにいたった。かくして39年大統領府Executive Office of the Presidentが設置され,私的なブレーン・トラストは公的な制度となり,その中にホワイト・ハウス・スタッフが正式に置かれるようになった。ただ,このスタッフの権限があまりに強大化すると,帝王的大統領制の原因ともなり,大統領直属のスタッフとラインとしての行政各省との調整は微妙である。なお日本でも,近衛文麿の国策研究集団〈昭和研究会〉は,ブレーン・トラストの一例といえよう。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブレーントラスト」の意味・わかりやすい解説

ブレーン・トラスト
brain trust

政府や政治家,組織の長などに対して助言をする専門家の集団。特にアメリカ合衆国では,大統領の側近で,政策の立案,作成に関する任務に携わる一団の顧問,補佐役をいう。1932年の大統領選挙で民主党候補フランクリン・D.ルーズベルトがコロンビア大学などの学者を政策面の相談相手とし,当選後も引き続きアドバイザーとしてホワイトハウスのスタッフに起用したのを,当時の新聞がブレーン・トラストと呼んだことに由来する。ケネディ政権下で制度的にも定着し,大統領補佐官の名称が使われるようになった。

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世界大百科事典(旧版)内のブレーントラストの言及

【アメリカ合衆国】より

…しかし,20世紀に入り,国家機能の拡大に伴い行政業務も増大し,ことにF.D.ローズベルト大統領時代に,内にニューディール,外に第2次大戦と,政府の機能は飛躍的に拡大し,大統領の強い政治指導が要請されるにいたった。ここに多忙な,強力であるべき大統領にとってその分身ともいうべき側近が必要とされ,ローズベルトの時代にはブレーン・トラストとしてスタッフが強化されたが,1939年には大統領府Executive Office of the Presidentが設置され,今日ではホワイト・ハウス事務局,管理予算局,国家安全保障会議,中央情報局(CIA)など強力な機関が各省と別に大統領に直属している。ことに,ホワイト・ハウス事務局の補佐官は,大統領の政策決定に大きな影響力をもち,大統領とこれらのスタッフに広範な権限が集中され,ついにはニクソン大統領時代の〈帝王的大統領〉制との批判をうけるまでにいたる。…

※「ブレーントラスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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