改訂新版 世界大百科事典 「プラトーク」の意味・わかりやすい解説
プラトーク
platok
ロシアの民族的な女性用被り物で,季節を問わず用いられる。ふつうは四角い布切れ,またはニット地で,頭に被るほか,肩にかけたり,首に巻いたりする。原色の華やかな花柄が多く好まれる。民族的な被り物とはいっても,広く使用されるのは機械による大量生産が開始された19世紀半ば以降のことである。その時期以降,伝統的な被り物にかわって,農民,商人など広く一般庶民の間に流布するようになった。プラトークは一般庶民によって日常的に気楽に用いられた反面,結婚の結納品や仲人への報酬としても用いられたし,花嫁にとっては娘時代との別れを象徴するものとして,婚礼へ向かう道で投げ捨てたり,実家に残していくべきものであった。しかし同時に将来の幸福のシンボルとして婚礼において新郎と新婦を結わいたりした。さらに葬式では,死者の家の窓にかけられたり,死者の手に持たせたり,墓の中へ投げられたりした。現在では一般にスカーフ,ハンカチーフ類を意味する言葉として広く用いられている。
執筆者:坂内 徳明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報