プリズム
〘名〙 (prism prisme)
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉五「
一箇の三稜玻璃片
(プリズム)、一箇の中凸玻璃片
(レンズ)」
② ①を通った、また、それに似た美しい光。
※
往来(1946)〈
永井龍男〉「
日向の雪は時々プリズムになって朱に青にキラリと光る」
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デジタル大辞泉
「プリズム」の意味・読み・例文・類語
プリズム(prism)
よく磨かれた平面をもつ透明な多面体。ガラスなどから作られ、三角柱のものなどがあり、光を分散・屈折・全反射させるために用いる。三稜鏡。
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プリズム
prism
なめらかで均質な,光学的平面を二つ以上もつ透明体で,少なくともその1組の面が平行でないもの。光を屈曲,分散,全反射させるために用いる。光学ガラスのほか,紫外線には水晶,赤外線には岩塩などが使用される。 (1) 光を分散させてスペクトルに分けるものには,二つの面を研磨した三角柱状のものが多く,分光器,分光計,屈折計などに用いられる。図においてαを頂角といい,入射角 i で一辺に入射した光は,媒質の屈折率 n が波長によって異なるため,各単色光に分かれて異なった偏角δの方向に出てゆき,分散が生じる。δは入射角 i によっても変化するが,単色光を用いていろいろの入射角 i で入射させるとき,i をいかに変化させても偏角はある一定の値 δ0 より小さくはならないという性質がある。 δ0 を最小偏角と呼び,その値は次式のように屈折率 n と頂角αの大きさのみで決まる。
この関係式は媒質の屈折率の測定に利用される。プリズムを使った分光器の分解能はプリズムのサイズに比例するので,高い分解能を得るためには大きな素材を必要とする。このため分解能を上げるには回折格子や干渉計のほうが有効である。 (2) 全反射を利用して,光線束の方向を変え,または像を正立させるためのものには,正立プリズムと五角プリズムがある。正立プリズムには,ポロ型,アッペ型,アミーチ型,ヘンスオルト型などがあり,望遠鏡などで倒立像を反転させるために用いる。レンズ系で正立させる場合よりも,望遠鏡体を短くできる。五角プリズムは光線束を反射させて,進行方向を一様に 90°変え,像は倒立しない。全反射をしないので,反射を増すため銀メッキする。測距儀,一眼レフカメラなどに用いられる。 (3) 偏光をつくる偏光プリズムは,方解石,水晶など複屈折性の結晶を使ってつくり,直線偏光を取り出すのに用いる。ニコルのプリズム,ロションプリズムなどがある。
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プリズム【prism】
滑らかに研磨された平行でない平面を二つ以上もつ透明体。用途により,分散プリズム,偏角プリズム,偏光プリズムなどがある。ギリシア語およびラテン語のprismaに由来し,原義は〈削る〉。起源については明らかでないが,多くの稜をもつガラスに光を入射させるとスペクトルが得られることは古くから知られていたようで,1世紀にL.A.セネカが書いた《自然の研究》にもこのことが述べられている。プリズムに関してはニュートンが行った太陽光によるスペクトルの実験が有名で,彼は第1のプリズムによって得られたスペクトルを第2のプリズムを通すと再び白色光となることから,それぞれのスペクトルはもともと太陽光に含まれており,これらが集まって白色光となることを明らかにした。
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プリズム
神林長平による長編の幻想SF小説。1986年刊行。翌年、第18回星雲賞日本長編部門賞受賞。
プリズム
百田尚樹の小説。2011年刊行。多重人格を題材とするミステリアスな恋愛小説。
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