プロレタリアート(英語表記)proletariat

精選版 日本国語大辞典 「プロレタリアート」の意味・読み・例文・類語

プロレタリアート

〘名〙 (Proletariat) プロレタリア階級労働者階級無産階級
※文芸上の民本主義について(1918)〈大西克礼〉七「下層に位するプロレタリヤートを」

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デジタル大辞泉 「プロレタリアート」の意味・読み・例文・類語

プロレタリアート(〈ドイツ〉Proletariat)

階級としてのプロレタリア。無産階級。労働者階級。⇔ブルジョアジー
[類語]プロレタリア無産階級

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百科事典マイペディア 「プロレタリアート」の意味・わかりやすい解説

プロレタリアート

生産手段をもたず,自分労働力を売る以外に暮しの道がない賃金労働者階級。古代ローマの下層貧民を意味したproletariusに由来する用語資本主義社会を構成する二大階級の一つであり,ブルジョアジーに経済的に隷属を余儀なくされる。マルクスによれば資本主義の発展とともに量的に増大し,階級意識にめざめ,プロレタリア革命のにない手になるとされる。
→関連項目インターナショナリズム永久革命論階級政党階級闘争過小農共産党宣言産業革命第四階級プティ・ブルジョアボナパルティズムルンペンプロレタリアート

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロレタリアート」の意味・わかりやすい解説

プロレタリアート
proletariat

階級としての資本家,すなわちブルジョアジーに対立する概念で,資本主義社会において,生産手段をもたず,みずからの労働力を資本家に売ることによって生活する階級としての労働者をさす。奴隷農奴とは異なって生活手段の所有から解き放されているばかりでなく,人格的な自由をもち,自己の労働力を商品として資本家に販売することのできる自由な労働者が多数生み出されたのは,ブルジョア革命と本源的蓄積過程においてであり,産業革命以後,社会は大きくブルジョアジーとプロレタリアートに分離された。彼らを社会階級として初めて認めたのは A.スミスであったが,マルクスは,労働者階級は唯一の価値の創造者であり,歴史変革主体であると規定した。語源ラテン語の proletetarius (無産者) 。かつては無産者階級,今日では労働者階級と訳されるが,労働者階級が経済学的規定をもつ用語であるのに対して,プロレタリアートはより広義の歴史的,社会的な概念を含む用語として用いられることが多い。プロレタリアを労働者,勤労者,無産者,プロレタリアートを労働者階級,無産者階級と訳して区別することもある。

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世界大百科事典 第2版 「プロレタリアート」の意味・わかりやすい解説

プロレタリアート【Proletariat[ドイツ]】

資本主義社会における,自らの労働力を賃金と引換えに資本家に売る以外に生活の手段をもたない,賃金労働者階級全体を指すマルクス主義の基本概念。〈無産階級〉ともいう。これに対し,階級としての資本家はブルジョアジーと呼ばれる。プロレタリアートを構成するのは,経済外的強制を受けないという意味で奴隷と,また生産手段を所有していないという意味で手工業者や農民と区別される,近代的工業労働者である。 語源的にみるならば,プロレタリアートという語は,古代ローマにおける最下層民を指すラテン語プロレタリウスproletariusから派生したものであるが,中世末以来ヨーロッパでは,〈財産を持たないその日暮しの人々〉という一般的な意味でも用いられていた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「プロレタリアート」の解説

プロレタリアート
proletariat

古代ローマの十二表法で,最下層民をさすプロレタリウスなる語に由来。資本主義の発展とともに都市貧民層をさしてしばしば使用される。マルクスは,資本主義のもとでブルジョワジーに対立する階級としての賃金労働者をさすものとして,その歴史的位置を明確にし,生産手段から切り離され,自己の労働力を売る以外に生活を維持できない存在で,資本主義の変革の担い手と規定した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「プロレタリアート」の解説

プロレタリアート
proletariat

古代ローマのプロレタリウス(最下層民)から出た無産者の意。ブルジョワジー(資本家階級)に対する労働者階級をさす
生産手段をもたないため,ブルジョワジーに自分の労働力を売らねばならず,弱い立場に置かれた。労働運動の担い手として労働組合を組織してブルジョワジーに対抗したが,現代では労働者も多様化し,プロレタリアートという概念では把握しきれなくなっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロレタリアート」の意味・わかりやすい解説

プロレタリアート
ぷろれたりあーと

労働者階級

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世界大百科事典内のプロレタリアートの言及

【階級】より


[マルクスとエンゲルスの階級論]
 サン・シモンの時代のフランスはなお産業革命の本格的展開の直前にあたっていたので,彼のいう〈ブルジョア〉は近代産業の所有者・経営者ではなくて法律家・軍人・金利生活者のことであり,〈産業者〉というのは近代産業の労働者ではなくて農業者・製造業者・商業者のことであった。これに対して,産業革命以後の社会における階級構造を,近代的大企業の所有者・経営者としてのブルジョアジーと,その下で生産活動に従事する労働者としてのプロレタリアートとの二大階級から成るものとし,農民・小工業者・小商人・小金利生活者などの中間階級はしだいにプロレタリアートに転落していく,という新たな定式化を提出したのが,マルクスとエンゲルスの《共産党宣言》(1848)であった。マルクスとエンゲルスが当時立てていた見通しによれば,資本主義の発展とともにブルジョアジーは強大になるけれども,これにともなってプロレタリアートはそれよりはるかに大量になり,組織化され,ブルジョアジーに対する闘争力を高め,最後にはプロレタリアートが階級闘争の勝利者になる,とされた。…

【独裁】より

…同時に,カエサル独裁以前のカエサル,ポンペイウス,クラッススの三頭政治,フランス革命のジャコバン党,ドイツのナチスやソ連のボリシェビキ党=共産党など,グループや政党と結びつけて独裁が語られる場合もある。マルクス主義においては,資本主義社会における政治はたとえ民主主義形態をとっていてもその本質は少数のブルジョアジーの独裁であるが,社会主義社会は多数者である労働者階級の独裁=プロレタリアート独裁であり,真の民主主義である,とする階級独裁理論がとられてきた。
[古代ローマのディクタトル]
 独裁dictatorshipの語自体は,古代ローマのディクタトル(独裁官)の制度にはじまる。…

※「プロレタリアート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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