精選版 日本国語大辞典 「ヘブライズム」の意味・読み・例文・類語
ヘブライズム
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狭義ではヘブライ語法を意味するが、広義ではヘブライ宗教(旧約聖書)によって根本的に規定され特徴づけられたヘブライ思想、文化、生活および伝統の全体、あるいはその特質をさす。とくに精神史的な概念としては、ギリシア精神としてのヘレニズムと類型的に対比されることが多い。この場合には原始キリスト教、さらにはキリスト教的伝統一般を包括するヘブライ的キリスト教的なものの総称である。このような対比は古くから知られていたが、イギリスの詩人で批評家のM・アーノルドが、『教養と無秩序』において、ヨーロッパを歴史的に形成し動かしている二つの動機としてあげてから、一般に有名になった。彼によれば、意識の自発的な働きが支配的観念であるヘレニズムに対して、ヘブライズムの支配的観念は良心の峻厳(しゅんげん)と服従である。
[水垣 渉]
このような宗教的、倫理的態度に特徴をもつヘブライズムは、古代イスラエル民族の唯一神ヤーウェに対する信仰が歴史的な経験を通して展開されることによって形成され、預言者においてその頂点に達したものである。したがってヘブライズムは預言者的精神Prophetismusで代表されることがある。
ヘレニズムに対するヘブライズムの特徴として一般にあげられるのは、前者の観念論、合理主義、客観主義などに対して、後者の実在論、非合理主義、主意主義、人格主義、精神と肉体・物質との二元論を排する神の創造による現実主義、歴史とその意味とを創造と終末との間の一回的過程において把握しようとする歴史観などである。しかしこのような一般的見解を学問的に根拠づけ、それでヘブライズムとヘレニズムとの歴史的交渉を究明することは困難な課題に属する。そのような試みの一つとして、ギリシア的存在論に対して、神の存在・働きを示すヘブライ語「ハーヤー」hāyāhに基づく「ハヤトロギア」hajathologiaの提唱(有賀鐵太郎)は重要である。
[水垣 渉]
『トーレイフ・ボーマン著、植田重雄訳『ヘブライ人とギリシア人の思惟』(1970・新教出版社)』▽『『キリスト教思想における存在論の諸問題』(『有賀鐵太郎著作集 第四巻』所収・1981・創文社)』
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ヘレニズムとともにヨーロッパ文化の伝統を支えている思想。ヘブライ人のヤハウェ信仰の神中心主義に由来し,キリスト教においては神の啓示による正義と愛を基調とし,ヘレニズムの人間中心主義と対比される。
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…この超越神信仰は,神話的な表象によって宇宙を彩る自然神信仰や,人間霊の転変によって世界を解釈しようとする人間神信仰とは異なって,宇宙と世界の調和を一つの抽象的な原理によって説明しようとするところに特徴が見られる。【山折 哲雄】
【ヘブライズムの神】
古代イスラエル宗教,ユダヤ教,キリスト教,さらにイスラム教の系譜は,ふつう(唯)一神教といわれる。経典では旧約聖書(ユダヤ教では〈律法・預言者・諸書〉略してタナハTanakh),新約聖書,さらにコーランに示される。…
※「ヘブライズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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