精選版 日本国語大辞典 「ヘルニア」の意味・読み・例文・類語
ヘルニア
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体腔(たいくう)の内側を覆っている膜(腹膜、胸膜、脳硬膜など)が、先天的または後天的に生じた裂け目から臓器や組織を包んだまま袋状に逸脱した状態をいう。腹部にもっとも多くみられ、しかも大部分が小腸であるところから俗に脱腸とよばれるが、膀胱(ぼうこう)や卵巣なども逸脱することがあるので、医学的に正しい名称とはいえない。また真のヘルニアではないが、脳や肺、椎間板(ついかんばん)などが逸脱して、ヘルニアとよばれる状態を呈することもある。体腔被膜を伴わない臓器の逸脱は、内臓脱出とよんで区別する。
ヘルニアは、逸脱部位であるヘルニア門、逸脱臓器であるヘルニア内容、それを袋のように覆う体腔被膜からなるヘルニア嚢(のう)の三要素から構成され、体腔外でおこる外(がい)ヘルニアと体腔内でおこる内(ない)ヘルニアとに大別される。外ヘルニアには代表的な鼠径(そけい)ヘルニアをはじめ、大腿(だいたい)ヘルニア、臍(さい)ヘルニア、会陰(えいん)ヘルニア、腹壁瘢痕(はんこん)ヘルニアなどがあり、内ヘルニアには横隔膜ヘルニアをはじめ、傍十二指腸ヘルニアや盲腸周囲ヘルニアなどの腹腔内ヘルニアが含まれる。また、発生原因によって先天性や後天性、さらに術後性や外傷性ヘルニアに分けられる。
なお、ヘルニア内容の臓器を正常な位置に戻せる場合は還納性であるといい、還納できないものをヘルニア嵌頓(かんとん)または嵌頓ヘルニア、嵌頓してヘルニア内容に血行障害を生じた場合は絞扼(こうやく)ヘルニアとよぶ。ヘルニア嵌頓は偶発症としてみられ、腸の壊死(えし)や腸内容通過障害によるショック症状を呈することがあり、嵌頓時間の経過とともに危険性が増大するので、救急外科処置を必要とする。
[岡島邦雄]
もっとも頻度の高いヘルニアで、とくに外鼠径ヘルニアが多く、いわゆる脱腸はこれをさす。男子に多くみられ、睾丸(こうがん)下降と密接な関連がある。小腸や卵巣などが陰嚢や大陰唇中に逸脱したものは、それぞれ陰嚢ヘルニア、陰唇ヘルニアとよばれる。根治手術は出生後どの時期でも可能であるが、その術式は幼児と成人とでは異なる。
[岡島邦雄]
鼠径ヘルニアが鼠径靭帯(じんたい)の上方から逸脱するのに対し、大腿ヘルニアは鼠径靭帯の直下にある卵円窩(か)から腹腔内臓器が腹膜に覆われて逸脱するもので、幼児にはまったくみられず、高齢の経産女子に多く発症する。
[岡島邦雄]
臍輪に欠陥があり、そこから腹腔内臓器が逸脱するもので、1年以内の幼児にみられる臍ヘルニアの大部分は自然治癒する。しかし、2歳以上にみられるものは手術が必要となる。
[岡島邦雄]
横隔膜の裂孔から腹部臓器が胸腔内へ逸脱するもので、左側横隔膜に多くみられる。成人に多くみられるのは、食道が横隔膜を貫通する食道裂孔が拡張して胃が逸脱してくる食道裂孔ヘルニアであり、幼小児に多くみられるのは、横隔膜の後外側に一対あるボホダレックBochdalek孔のうち、左側から胃、小腸、大腸、脾(ひ)臓などが逸脱してくるボホダレック孔ヘルニアである。このほか、後天的な外傷や腹腔内炎症による横隔膜穿孔(せんこう)でおこることもある。とくにボホダレック孔ヘルニアでは、急激な呼吸困難により重篤となることが多い。横隔膜ヘルニアの治療には、開胸あるいは開腹によるヘルニア孔閉鎖手術が必要である。
[岡島邦雄]
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