精選版 日本国語大辞典 「ヘルメス」の意味・読み・例文・類語
ヘルメス
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ギリシア神話のオリンポス十二神の一人。ローマ神話のメルクリウスと同一視された。父はゼウスで、母はアトラスの娘マイア。農牧地帯のアルカディアの石神崇拝から生まれた神らしく、町のヘルメス像は四角な石柱に頭部と男根だけを彫りつけたもので、その原始形態は道の脇(わき)や境界に積んだ石の山(ヘルマという)、あるいはその中心に立てられた男根形の石柱であったと考えられる。家畜の増殖をつかさどることから富と幸運の神、道の神であるところから旅人の守り神、通訳、商業、盗人の神、また夢の運び手、死者の魂を冥界(めいかい)に送り届ける神などとされた。
伝ホメロスの『ヘルメスへの賛歌』によると、彼は明け方に生まれ、昼に竪琴(たてごと)を発明し、夕方に盗みをはたらいた。すなわち、ゼウスはヘラの目を盗んでアルカディアの山深い洞穴でマイアに産をさせたが、ヘルメスは生まれ落ちるやいなや揺り籠(かご)を抜け出し、冒険に出かける。まず、山にすむ亀(かめ)をみつけて甲羅(こうら)を剥(は)ぎ、羊の腸(ガット)を7本張り渡して竪琴をつくった。そしてギリシアの北の果てまで行き、アポロンの牝牛(めうし)50頭を盗み出す。このとき狡猾(こうかつ)さを発揮して、牛を後ろ向きに歩かせ、自らは木の枝で編んだ妙な靴を履いて追っ手の目を欺くが、ついにアポロンにみつけだされ、牛と竪琴の交換で仲直りする。このほか、ゼウスのお伴や神々の使者として活躍し、ゼウスが怪物ティフォンと闘って手足の腱(けん)を切られたとき、彼は隠された腱を盗み出してゼウスに取り付け、その勝利に貢献した。またゼウスの愛人イオが、ヘラの遣わした百眼の怪物アルゴスに意地悪く監視されているときには、アルゴスを眠らせて殺した。
ヘルメスの子とされる者は多いが、そのなかにオデュッセウスの祖父で盗みの名人のアウトリコスがいる。また彼には、オデュッセウスの妻で貞女の鏡とされたペネロペイアと通じて牧神パンを生ませたとか、女神アフロディテとの間にヘルマフロディトス(両性具有の神話的形象)をもうけたという奇妙な伝承もある。美術では、つば広帽子をかぶって伝令杖(つえ)を手に、羽根の生えたサンダルを履く軽快な旅人姿で描かれることが多い。
[中務哲郎]
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…蛇は大地の力をあらわすものと考えられ,ギリシアの医神アスクレピオスは大地的治癒力を伝える蛇のからんだ杖を持っていた。最もよく知られているカドゥケウスは,ヘルメス神の持物で,ヘルメスはこの杖を印として冥界・地上界・天界の間を往復し,神々の相互の意思や,とくにゼウスの命令を伝える伝令の役割を果たした。後にヘルメスがエジプトの神トートと習合して錬金術の神ヘルメス・トリスメギストスとなると,この杖は天と地,太陽と月,男性と女性,硫黄と水銀などの対立物を統合して,完全な金属である黄金を作る超越的な力の象徴ともなった。…
… これらを整然と区別し定義するのは不可能だが,後述する〈儀礼の道化〉が典型的に示している,固定的な秩序へのおどけた批判者,思考の枠組みの解体者という役割は,あらゆる分野の道化に共通して見られる。オリュンポスの神々のなかでのヘルメスはトリックスター的であり,商業,交換,盗み,旅の保護者,またプシュコポンポス(霊魂を冥界に導く者)として,境界をくぐりぬけ,異なる世界を媒介する。滑稽な踊りを舞って天の岩屋戸を開けさせたときの天鈿女(あめのうずめ)命も,道化的であったといえる。…
…そして,このサンダルの出現はエジプトの繁栄を約する吉兆であると信じられている(《歴史》第2巻91節)。 またヒュギヌスによれば,ヘルメスには次のような伝説がある。すなわちヘルメスは美神アフロディテに恋したが拒まれ,これを哀れんだゼウスが鷲に変じてアフロディテのサンダルの片方を盗んで彼に与えたため愛はかなえられた。…
…セイヨウハシバミC.avellana L.はヨーロッパ原産で,その果実はヘーゼルナッツと呼ばれ,栽培されることもある。【岡本 素治】
[神話,民俗]
ギリシア神話に語られるヘルメスの杖(つえ)(カドゥケウス)は,一説にハシバミの枝だったといわれる。これは彼がシュリンクス笛と交換にアポロンから得たもので,後世に至ってことばによる思考表現力を人間に授けた魔法の杖wandの原型とも信じられるようになった。…
…ギリシア諸都市の街角,家々の戸口,聖域などに数多く建立された,ヘルメス神の胸像を戴く四角柱石。〈ヘルメス柱〉と訳される。…
…ギリシア語の神名で,〈3倍(すなわち,はなはだ)偉大なヘルメス〉の意。ヘレニズム時代によくある混交宗教型の神で,ギリシア神話のヘルメスとエジプト古来のトートとが,エジプトのヘレニズム的環境の中で習合し生まれた。…
…こうして,エジプトのアレクサンドリアを中心に,前3世紀ごろから錬金術思想が定着しはじめた。 まわりをとりかこむ赤茶けた不毛の土地とは対照的な大河ナイルのもたらす豊饒のシンボルとしての黒土,こういう〈黒〉から出発する〈大いなる術〉としての錬金術は,また一般に〈ヘルメスの術(オプス・ヘルメティクムopus Hermeticum,ヘルメティカHermetica)〉,ないし〈ヘルメス=トートの術〉とも呼ばれた。トートはエジプト古来の技芸をつかさどる神で,死者の魂の導き手,ヘルメスはギリシア神話の神々の使者であり,かつ死者の魂を地下のハデスへ導く神(プシュコポンポス)でもあった。…
※「ヘルメス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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