ベラミー(英語表記)Edward Bellamy

改訂新版 世界大百科事典 「ベラミー」の意味・わかりやすい解説

ベラミー
Edward Bellamy
生没年:1850-98

アメリカ小説家,社会改革家。18歳のときドイツなどのヨーロッパで過ごし,スラム街の惨状に衝撃を受ける。法律を学んだがジャーナリズムに入り,一方ロマンティックな小説を書く。産業国有化され国民の豊かな生活を保障するユートピア小説《顧みれば》(1888)は,社会主義よりもナショナリズムを強調したためアメリカ人の共感を得,各地にその理想を目ざすナショナリスト・クラブの誕生をみ,日本にも明治年間に紹介された。続編《平等》(1897)は前作に対する疑問に答えたものである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ベラミー」の意味・わかりやすい解説

ベラミー

米国作家編集者をしつつ小説を書くうち,紀元2000年のアメリカに社会主義的ユートピアを見いだす《顧みれば》(1888年)が大評判となる。週刊誌《ニュー・ネーション》を発刊して社会変革に取り組み,後の社会運動・労働運動に大きな影響を与えた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のベラミーの言及

【社会主義】より

…生産手段の私有と私的管理,労働力を含む商品の自由競争という資本主義社会の原則を批判して,生産手段の共有と共同管理,計画的な生産と平等な分配を要求する思想と運動,また,その結果具現された社会体制を広く社会主義と呼ぶ。社会主義という用語は,このように思想,運動,体制の次元にわたり,時には資本主義の個人主義的な利潤追求欲に対立するものとして集団主義的な友愛の連帯という倫理の次元までも含んで用いられるために,内容的には多義にわたらざるをえない。…

【ユートピア】より

…最も楽観的なものは,世紀の後半に続出し,技術と社会機構の発展によって現在の延長上に構想され,貧困,過重労働,凶作,不況から免れた豊かな社会が近い未来に描かれた。E.ベラミー《顧みれば》(1888),T.ヘルツカ《自由の地》(1890)は,ことにアメリカで熱狂をもってむかえられた。 第2は,ロマン主義の影響のもとに成立したものであり,第1とは逆に高度な技術文明を嫌悪し,前産業化社会を背景として調和と協働,自然への回帰と人間性の回復を基調とする理想社会をもとめた。…

※「ベラミー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android