翻訳|peptide
二つ以上のアミノ酸がペプチド結合によって連なった化合物の総称。アミノ酸のアミノ基と隣のアミノ酸のカルボキシル基から1分子の水が除かれて,共有結合するとペプチド結合が生じる。
自然界にはさまざまな長さのペプチドがあり,それぞれ特異的な生物活性をもつ。アミノ酸残基の数によってジペプチド(2),トリペプチド(3),テトラペプチド(4)などと呼ばれるが,数個以上をもつものは通常ポリペプチドと総称され,さらに50以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドはタンパク質に分類する。哺乳類の組織に最も多いペプチドはグルタチオンglutathioneで三つのアミノ酸残基から成る重要な補酵素である。ペプチドホルモンも多数知られている。オキシトシン,バソプレシンは各8アミノ酸残基から成り,血糖量を上昇させるグルカゴンは29残基から成る。細菌莢膜(きようまく)にはグルタミン酸のみから成るポリペプチドが含まれている。カビ毒や,ペニシリンなどの抗生物質はその構造の一部にペプチドをもつものが多い。最近,脳中にさまざまなペプチドが発見され,その生理機能の研究が進められつつある。
→タンパク質
執筆者:宝谷 紘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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一つのアミノ酸のα-カルボキシル基と,ほかのアミノ酸のα-アミノ基とが酸アミド結合を形成している場合,この結合をペプチド結合という.ペプチド結合により形成された化合物がペプチドであり,タンパク質の基本的な構造である.ペプチドが二つのアミノ酸よりなる場合をジペプチド,三つのアミノ酸よりなる場合をトリペプチドといい,多数のアミノ酸よりなる場合をポリペプチドという.ペプチドは,通常,α-アミノ基を有するN末端アミノ酸を左に,α-カルボキシル基を有するC末端アミノ酸を右に書き,C末端アミノ酸のアシル誘導体として名づけられる.すなわち,図のトリペプチドはアラニルグルシルフェニルアラニンである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…その全体の大きさは成人で背側視床の約1/5を占めるにすぎない。しかし,この部では,ドーパミン,アセチルコリン,ノルアドレナリンのような神経伝達物質や,いままでに中枢神経系で認められているほとんどすべてのペプチドが合成されている。またその底部には多種のホルモンを含む脳下垂体が付着し,視床下部の指令によってここから血中にホルモンが放出され,内分泌腺を制御している。…
※「ペプチド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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