ペロポネソス同盟(読み)ペロポネソスどうめい

改訂新版 世界大百科事典 「ペロポネソス同盟」の意味・わかりやすい解説

ペロポネソス同盟 (ペロポネソスどうめい)

前6世紀から前4世紀中ごろまで影響力をもったギリシア諸国の同盟。〈ペロポネソス同盟〉は現代の呼称で,古代においては〈ラケダイモン人とかれらの同盟国〉といわれていた。スパルタ主導の下に設立され,アルゴスを除くペロポネソス諸国が加盟,同盟の構造は非常に緩やかで,共同の戦争遂行のみが規定されていた。同盟会議席上,戦争遂行が決定されると,スパルタは全軍の指揮権を掌握し,各国は戦費を支払った。加盟国は内政に干渉されず,平時においては税が徴収されることはなかったし,加盟国相互の戦争は自由であった。前404年ペロポネソス戦争終結時にアテナイが,そして後に加盟諸国が平和条約に無条件に従うことを強いられ,スパルタによる帝国化の動きが発生した。しかし同盟はその後スパルタの覇権喪失テーバイのペロポネソス諸国への介入によって,前366年事実上解体した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペロポネソス同盟」の意味・わかりやすい解説

ペロポネソス同盟
ぺろぽねそすどうめい

古代ギリシア最古の、ペロポネソス半島諸ポリス間の同盟。盟主はスパルタ。スパルタは、紀元前550年ごろテゲアと同盟を結んだのを手始めに、多くのポリスとの同盟関係を積み重ね、前6世紀末に同盟会議を設け永続的な同盟とした。同盟諸国は、スパルタと同じ友と敵をもち、スパルタの率いるところに従う旨の誓いを交わした。スパルタは同盟会議を招集、主宰し、戦争期間中は軍事指揮権をもった。しかし同盟としての軍事行動は同盟会議の多数で決められた。同盟の軍事行動がないとき、同盟国間で戦争を行うことは可能であった。同盟の結束はかならずしも強固ではなく、前480年代にはテゲアとアルカディアの反スパルタ行動がみられた。やがてスパルタは同盟国に押されて、自治と自由を掲げてペロポネソス戦争に踏み切った。これに勝利すると専制的にふるまうようになったが、スパルタがテーベに敗れたのち、ほどなく同盟は解体した(前366)。

[古山正人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペロポネソス同盟」の意味・わかりやすい解説

ペロポネソス同盟
ペロポネソスどうめい
Peloponnesian League

スパルタを盟主とするギリシア最古の攻守同盟。個別の軍事条約が前6世紀にスパルタを中心として組織化され,エリス,テゲア,コリントをおもな加盟国に含み,アルゴスを除く全ペロポネソスを統合する同盟として成立した。性格は本質的には防衛的な軍事同盟で,スパルタは戦場での同盟軍指揮と同盟会議招集の権利はもっていたが,同盟としての交戦は同盟会議に決定権があった。また同盟が戦争を行なっていない場合には,同盟国同士の戦争は自由であった。ペロポネソス戦争の勝者とはなったが,前 366年のスパルタの伝統的政治体制崩壊に伴い,同盟も解体した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ペロポネソス同盟」の解説

ペロポネソス同盟(ペロポネソスどうめい)

スパルタを盟主とするペロポネソス半島内外諸市の攻守同盟。スパルタ主導下の会議において多数決で和平を決し,戦時指揮権をあげてスパルタにゆだねた。前6世紀末に成立し,前366年瓦解。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ペロポネソス同盟」の解説

ペロポネソス同盟
ペロポネソスどうめい
Peloponnesian League

古代ギリシアのポリス,スパルタを中心とする軍事同盟
前6世紀後半にはアカイア地方とアルゴスを除く全ペロポネソス半島のポリスが同盟に加わり,アテネ中心のデロス同盟と対立し,ペロポネソス戦争に発展した。前366年に瓦解。

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世界大百科事典(旧版)内のペロポネソス同盟の言及

【コリントス】より

…このころのコリントスはギリシアの中でも隆盛を極め,西方ギリシアへの植民活動は拡大され,陶器,青銅製品は地中海各地へ輸出された。 スパルタの支援で倒された僭主政のあとは,穏健な寡頭政体制をとり,ペロポネソス同盟に加入,前6世紀中ごろから前5世紀前半までは他のギリシア諸国,とりわけアテナイとは友好的な関係を保ち,商工業も繁栄を続けた。ペルシア戦争では大部隊を派遣して各戦いに参加する。…

【スパルタ】より

…少し前テゲアを破ったときに,スパルタは従来の併合政策を変更して同盟を結んだ。以後アルカディア諸市には同様の政策を採って,前6世紀後半にペロポネソス同盟の盟主の地位を確立した。他方,前540年代にはアルゴスを破りテュレアティスを確保した。…

※「ペロポネソス同盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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