改訂新版 世界大百科事典 「ホシガレイ」の意味・わかりやすい解説
ホシガレイ (星鰈)
spotted halibut
Verasper variegatus
カレイ目カレイ科の海産魚。マッカ(横浜),ヤイトガレ(神戸),ヤマブシ(敦賀)などの地方名がある。南方種で本州中部以南に分布し,沿岸の砂泥底にすむ。有眼側は暗褐色で斑紋はなく,無眼側にはいくつかの大きな褐色斑紋が存在し,背びれ,しりびれ,尾びれには黒色斑紋が認められる。マツカワに形態がよく似ており混同されるが,マツカワは北方種で側線の前湾曲部の高さが低いこと,ひれにある斑紋が丸いことで区別できる。産卵期は九州西岸で1~2月,伊勢浜島で5~6月である。卵径は約1.6mmの球形浮遊卵で,油球はない。水温12~13℃において約100時間で孵化(ふか)する。全長15~16mmのころ,浮遊生活から底生生活に移行し,約21mmになると変態を終える。8月ころには約10cmになり,秋ころ約12cmに達ししだいに深所へと移動する。変態期の前後を通じて小型甲殻類,稚魚期には小型の貝類を食べるものもある。無眼側の黒色斑点は約9cmのころ現れる。体長は約40cmに達する。美味で,刺身,洗い,すし種にされる。
→カレイ
執筆者:松下 克己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報