改訂新版 世界大百科事典 「ホッケ」の意味・わかりやすい解説
ホッケ
Pleurogrammus azonus
カサゴ目アイナメ科の海産魚。英名はAtka mackerel(アッカのサバ)という。北海道に多いが,南サハリンから対馬海峡付近および茨城県まで分布する。全長40cmくらいになる。背びれの棘条(きよくじよう)と軟条部の間に切れ込みがなく,尾びれが2叉し,側線が5条あることが特徴。体色は暗黄色か暗緑色。ホッケに〈𩸽〉の字が当てられるのは幼魚が鮮やかな緑色で美しいからである。産卵期には雌雄に唐草模様が生じ,また地色も異なるようになる。産卵期は秋から冬で,石の隙間や岩の裂け目に卵を産む。幼魚はアオボッケといわれ表層に群れるが,満1年になるとローソクボッケといわれ海底生活に入る。2年魚はハルボッケともいわれ,春に濃密な群れをつくって海面を泳ぐ。成魚はネボッケ(タラバボッケ)と呼ばれ,沖合の岩礁地帯に根づく。寿命は6~7年。餌は成長段階により異なる。巻網,刺網,はえなわ,底建網で漁獲される。昔はニシンの天敵とされ価値は低かったが,現在では塩干品やかまぼこの材料として重宝される。
執筆者:谷内 透
ホッケ
Gustav René Hocke
生没年:1908-87
マニエリスム研究で知られるドイツの批評家,作家。ベルギーのブリュッセルに生まれ,E.R.クルティウスに就いて哲学博士号を取得した。1940年以降新聞社のローマ派遣員となり,イタリア南部に残るギリシア文化に開眼。第2次大戦後相ついで公刊された2冊のマニエリスム研究書《迷宮としての世界》(1957),《文学におけるマニエリスム》(1959)は,M.ドボルジャークの《精神史としての美術史》並びにクルティウスの《ヨーロッパ文学とラテン的中世》の系譜を継ぐ,16,17世紀マニエリスム文学芸術研究として高い声価を得た。著書はほかに《マグナ・グラエキア》(1960),《絶望と確信》(1974),《ネオマニエリスム--シュルレアリスムから瞑想に至る現代絵画の道》(1975)など。
執筆者:種村 季弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報