ホテル(英語表記)hotel

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デジタル大辞泉 「ホテル」の意味・読み・例文・類語

ホテル(hotel)

旅館。特に、洋式の宿泊施設。
[類語]宿旅館宿屋民宿ペンション木賃宿旅籠モーテルラブホテル連れ込み連れ込み宿

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精選版 日本国語大辞典 「ホテル」の意味・読み・例文・類語

ホテル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] hotel ) 西洋式の設備と様式をもった宿泊施設。洋風の旅館。
    1. [初出の実例]「此ホテル 客舎のこと を残る所なく見んと乞ければ」(出典:遣米使日記‐万延元年(1860)四月一日)

ホテルの語誌

( 1 )日本で本格的に建てられたのは慶応四年(一八六八)東京築地に開業した「ホテル館」(別名、築地ホテル館)である。これについて「武江年表」には「異国人の旅館を建られ、且貿易の所とせらる〈蛮名ホテルといふ〉」と見える。
( 2 )ことばとしては、幕末の西欧への旅行日記などから見えはじめる。当初は「ホテル」の語の前か後に「旅店」「旅館」などの訳語を付して使われ、その後「旅館」などの語に「ホテル」のルビを振ったりもし、やがて「ホテル」単独でも用いられるようになった。
( 3 )昭和二三年(一九四八)施行の「旅館業法」によると、法律上は、宿泊施設の構造と設備が洋式か和式かの違いによって、「ホテル」と「旅館」は区別されているが、「旅館」を「ホテル」の上位概念と見ることもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ホテル」の意味・わかりやすい解説

ホテル
hotel

欧米で発達した近代的設備を備える高級宿泊施設。宿泊施設とは,第一義的には旅行者に対して睡眠と飲食,さらに生命,財産の保護にかかわるサービスを提供することによって,人々に旅行先での滞在を可能にさせる施設である。宿泊施設を表す言葉は,欧米ではホテルのほか古くからのインinn,新しいものにモーテルmotelがあり,日本では旅館などがある。インという言葉はイギリスで15世紀初頭から使われ,現代でも中世の宿泊施設がそうであったように,小規模で家庭的な雰囲気を示唆する語として用いられている。ホテルという言葉がイギリスやアメリカで使われるようになったのは,18世紀末~19世紀初頭である。その語源は古代・中世フランス語のhostelで,宿泊所のほか富豪の大邸宅や公共の建物を意味した。hostelはやがてs音が消えてhotel,フランス語ではオテルhôtelとなったが,インとは異なる語感,すなわち近代的で高級な宿泊施設を意味する言葉として定着した。

19世紀半ば以降,大規模なホテルがヨーロッパやアメリカで建設されるようになった。こうしたなかで,その後の高級ホテルのあり方に決定的な影響を与えることになった人物が,スイスのホテルマンのリッツCésar Ritz(1850-1918)とフランスの料理長エスコフィエGeorges Auguste Escoffier(1846-1935)である。リッツはスイスの片いなかからパリへ出て,レストランの給仕を振出しにやがて世界の王侯,貴族や新興の富豪をもてなす人物となった。一方,リッツとコンビを組んだエスコフィエは数々のフランス料理を創作し,その著書《料理案内》(1902。邦訳《エスコフィエ・フランス料理》)はフランス料理のバイブルとされている。2人の協力で誕生したホテルにロンドンのサボイ・ホテルSavoy Hotel(1889),カールトン・ホテルCarlton Hotel(1898),パリのオテル・リッツHôtel Ritzなどがある。サボイの開業はロンドンで日曜日に外食を楽しむ習慣が定着する契機となった。またパリのオテル・リッツは今日もパリを代表する高級ホテルであるが,その後の高級ホテルの手本となった。さらにエスコフィエの創作した料理は,彼が人気オペラ歌手N.メルバのために作ったピーチ・メルバのように,その多くが現在も世界のホテルのメニューに登場している。

 この2人によるホテルは,いわば王侯,貴族のためのホテルであったが,20世紀に入るとアメリカで,一般大衆でも負担できるような料金で,しかも高級ホテルとして十分な機能を備えたホテルが建設されるようになった。その背景としては,産業活動が活発化して商用旅行が盛んとなり,快適な設備とサービスを備えたホテルに対する需要が高まったこと,一方,ホテルを建設,運営する側では大量生産,大量販売の仕組み,すなわちチェーン経営の手法で価格の引下げが可能になったこと,などが挙げられる。後にホテル業を近代的産業としての地位にまで高めたと評されたスタットラーEllsworth Milton Statler(1863-1928)が,1908年にバッファローでスタットラー・ホテルを開業し大成功を収めた。彼は1000室単位の大規模なチェーン・ホテルを次々に建設し,その後のホテル経営の模範となった。そしてこの経営法を継承したのが,みずからも数々の革新的な業績を残したヒルトン・チェーンの創始者ヒルトンConrad Nicholson Hilton(1887-1979),世界最大のホテル・チェーンであるシェラトン・チェーンを築いたヘンダーソンErnest Henderson(1897-1967)である。さらに現在では新興勢力としてハイアット,ウェスティン,マリオットといったホテル・チェーンが台頭し,アメリカのホテル産業は新しい発展段階を迎えている。

 アメリカの宿泊施設には,上記のような高級ホテルに加えて,1920年代に登場したモーテルと呼ばれる種類がある。モーテルという言葉はmotorists' hotelすなわち〈自動車利用者のホテル〉をつづめた語で,自動車の普及によって誕生した。自動車旅行者にとって便利な立地条件と十分な駐車場を備えていること,さらに施設とサービスが簡素であるため廉価なことが特色である。モーテルは第2次大戦後急成長を遂げ,現在では軒数,客室数ともにホテルを上回っている。なかでもホリデー・インは,アメリカのみならず全世界にチェーン・モーテルを擁する世界最大の宿泊施設チェーンとなっている。

日本におけるホテルは,江戸時代末期から明治初めにかけて,外国人のための宿泊施設として建設された。本格的なものとしては1868年(明治1)に東京で竣工したホテル館(別名,築地ホテル館)が最初とされる。そして90年には日本を代表するホテルとして帝国ホテルが開業した。その後日本のホテルは1960年ころまでは,もっぱら外国人を,日本人ではごく一部の富裕な人々を対象として営業された。しかし60年代後半になると,高度経済成長とともに日本人の生活様式が洋風化し,そのため東急や西武といった私鉄を中心に大企業がホテル建設に乗り出し,64年のオリンピック東京大会の開催を契機に第1次ホテル建設ブームが起こった。その後70年前後に第2次のブームが,さらにオイル・ショック後の80年代になって第3次のブームが起こっている。こうしたブームを経て,日本のホテルは大都市ばかりでなく地方都市や観光地にもおよび,その性格も高級なものから大衆的なものへと広がりをみせている。現在では日本人の間にすっかり定着し,都市では伝統的な宿泊施設である旅館に取って代わる勢いとなっている。欧米のホテル史との関連でいえば,もともと欧米ホテルの模倣から出発しただけに,リッツ流の高級ホテルの系譜,1963年に開業した東京ヒルトン・ホテルに続くアメリカ的なホテル,さらにモーテルに対応するビジネス・ホテルなど,多様である。また日本のホテルの特色として,とくに大都市の大規模ホテルの場合,地域社会の人々にとってショッピング,文化,教養,娯楽,スポーツといった分野で,さまざまな社会的機能を果たしている点が注目される。欧米のホテルもそうした役割をもつが,日本のホテルの方がより多面的かつ積極的である。
宿屋 →旅館
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日本の場合,ホテルは客室のほかに宴会場や飲食施設などを豊富にそろえた都市ホテルと,経済的な宿泊機能を重視したいわゆるビジネス・ホテル,そして観光地や保養地に建つリゾート・ホテルに大きく分類することができる。これらのうち施設構成が最も複雑なのは都市ホテルである。都市ホテルは,宿泊,宴会,飲食,物品販売,スポーツやレジャー,駐車などといった多様な生活機能を充足するように計画され,建築的にはおのおのの機能に適したそれぞれの空間を必要とする,一種の複合建築と考えるべき性格が強い。このような都市ホテルの計画では,比較的小さな単位空間の集合として積み重ねることの多い高層客室部と,広々とした大空間が要求される大宴会場やホテルの顔としての印象をつくり出すメインロビーや外来利用者の多い飲食施設などを内容とする低層部とで構成されることが多い。客室はバスルーム付きの1人室または2人室が一般的で,上等な客室は寝室と接客室とを分けた続き部屋として計画される。大宴会場は多様な演出用の空間であるが,同時に,結婚式場関係の諸室が一体的に設けられるのが普通である。飲食を提供する部分が多いのでサービス側の計画は厨房の計画が中心になる。また,ホテルは不特定の利用者を対象としているので防災上の配慮がとくに必要な種類の建物である。さらに,伝統的に快適さや魅力的な空間構成といった文化度の高い雰囲気が必要とされる施設であるという特色ももっている。
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百科事典マイペディア 「ホテル」の意味・わかりやすい解説

ホテル

西洋式の高級宿泊施設。宿泊設備のほか,外来者にも利用できるレストラン,ロビーをもつのが一般的。サービスは分業化。日本では国際観光ホテル整備法(1949年)に外国人客宿泊のための基準が設けられ,これに基づく登録を受けると税法上の優遇措置などがある。1868年東京築地にできたホテル館が近代的ホテルの初めとされる。1964年の東京オリンピック以降数度のホテル建設ブームを経て,現在では高級なものから大衆的なものまで多様化・一般化している。旅館業法による旅館でもホテルと称するものは多い。→旅館
→関連項目モーテル

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デジタル大辞泉プラス 「ホテル」の解説

ホテル

①日本のテレビドラマシリーズのひとつ。放映はTBS系列。架空のホテル「プラトン」を舞台とする群像劇。原作は石ノ森章太郎。出演:松方弘樹、高嶋政伸、紺野美沙子ほか。1990年のシリーズ第一作放映開始から、2002年のスペシャル版で完結するまでの12年間に、5つのシリーズと、多数の単発スペシャルドラマが制作・放映された。シリーズ開始時には新人ベルボーイであった青年、赤川一平の目を通して、ホテルマンとさまざまな宿泊客の日常を描く。赤川のナレーションに多用される「姉さん、事件です」という台詞のバリエーションが、スペシャル版の副題になっている。
②日本のテレビドラマ。①のシリーズ第1作。放映はTBS系列(1990年1月~3月)。全11回。出演:松方弘樹、高嶋政伸、紺野美沙子ほか。

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世界大百科事典(旧版)内のホテルの言及

【旅館】より

…旅館とは旅行者のための宿泊施設であるが,この語をホテルと対比させて用いる場合は,ホテルが洋式であるのに対して,旅館は和式を意味する。日本では宿泊業を営む場合,〈旅館業法〉(1948制定)によってあらかじめ都道府県知事より営業許可を受けなければならない。…

※「ホテル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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